KAIRO
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10Chapter 10

パートナーシップのHot Assets・持分売却・終了・BBA監査制度と免税組織

Part 2: 事業体の税務コンプライアンスBlueprint Area II 対応・配点 30-40%読了目安 約142分

章構成を新カリキュラムに刷新しました。旧構成との対応は移行ガイドをご覧ください。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 10: 免税団体でも税金がかかるお金

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(税務部門)/🏢 高橋さん(クライアントのNPO代表)

会報に載った広告

訪問先は、地域の高齢者支援を行う非営利団体だった。狭い事務所の棚には、これまでの活動報告書がぎっしり並んでいる。週に3回、一人暮らしのお年寄りに手作りの弁当を届ける活動を、10年近く続けているという。高橋さんは、できたばかりの会報を嬉しそうに見せてくれた。

🏢「今号から、近所のお店に広告を載せてもらうことにしたんです。印刷費の足しになりますし」

会報には、地元のパン屋や整骨院の広告が5枠、載っていた。1枠あたり月3万円だという。

🦉「これだけの広告主、どうやって集めたんですか」

🏢「理事の一人が、顔なじみのお店を一軒ずつ回ってお願いしたんです。集まった分は、弁当の配達を週3回から5回に増やす費用に充てようと思っていて」

🦉「会員以外からも収入が入るのはいいですね。団体は非課税なんですし、心配いらないですよね」

🏢「助成金だけに頼らずに済むので、理事会でも評判がいいんですよ」

先輩が会報のページをめくる手を止めた。

💼「高橋さん、この広告収入、去年の申告には入っていましたか」

🏢「いえ、非課税団体なので、申告する必要はないと思っていました」

💼「団体が非課税でも、その収入には税金がかかっている可能性があります」

高橋さんは、きょとんとした顔をした。会報を作ることそのものが支援活動だと思っていたので、税金という言葉がうまく結びつかないようだった。

「団体」でなく「事業」で見る

事務所を出たあと、先輩が説明してくれた。

💼「非課税かどうかは、団体全体の話じゃない。収入を事業ごとに見て、団体の目的と関係があるかどうかで判断する」

🦉「会報を出すこと自体は、支援活動の一部ですよね」

💼「そう。でも広告を取って収入を得る活動は、支援そのものとは別の話だ。継続的に行っていれば、そこだけ取り出して課税される」

🦉「会報を出す活動の一部なのに、切り分けて考えるんですか」

💼「切り分ける。目的に沿った活動と、それを支えるためのお金の稼ぎ方は、別々に見る必要がある」

🦉「非課税団体でも、部分的に税金がかかることがあるんですね」

💼「ある。免税というのは、団体に貼られた一枚の札じゃなくて、収入ごとに確かめるものなんだ」

🦉「じゃあ、助成金や寄付金は今まで通りで、広告収入だけ別扱いということですか」

💼「基本的にはそうなる。だから、事業ごとに分けて記録しておく必要がある」

🦉「フクロウも夜は自由に飛べますけど、昼間の縄張りには入れませんもんね」

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea II ---事業体の税務コンプライアンス(Entity Tax Compliance)
Blueprint参照Area II-C(パートナーシップ〈非定型取引〉)/Area II-D(免税組織)
エリア出題比率30〜40%(Area II全体)

⏱ 読了目安: 約142分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。

Area IIはTCP全体の中でも配点の厚いエリアである。本章では、パートナーシップという事業体から「抜ける」場面(持分売却・終了)と、法人税の枠組みの「外側」に立つ免税組織という、性質の異なる2つのテーマを扱う。

前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
対外的持分基準価額(Outside Basis)の算定方法本章の持分売却損益は「売却対価 − Outside Basis」で決まるため、算定方法が前提になる
内部資産基準価額(Inside Basis)とOutside Basisの対応関係§754選択によるBasis調整は、この2つのBasisのズレを解消する仕組みであるため
パートナーシップの損益配分(Distributive Share)の基本ロジック保有期間中に配分された損益がOutside Basisを増減させ、売却時の譲渡損益に直接影響するため
事業体は原則として課税主体になる、という法人課税の原則免税組織のセクションは、この原則に対する「例外としての非課税」を扱うため

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【Part II: 事業体の税務コンプライアンス の中の位置】

C法人(非定型取引) → S法人(非定型取引) → パートナーシップ(非定型取引) → 免税組織
                                              ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                                                        ← 今ここ →

前の章までで、C法人・S法人という「株主が有限責任で法人税を納める」事業体の非定型取引を見てきた。本章のパートナーシップと免税組織は、どちらも「原則として事業体そのものには課税されない」点で共通する。パートナーシップは所得を各パートナーに配分して課税し(パススルー課税)、免税組織は一定の要件を満たせば法人税を免除される。

しかし、この章が扱うのは「税金がかからない場面」ではなく、その原則が崩れる境界線である。持分を売却した瞬間、キャピタルゲインだったはずの利益の一部が通常所得に変質する場面がある。免税組織では、非課税のはずの法人が本業と関係のない事業を営めば、その部分だけ課税される。集中監査制度も、過去の申告ミスの税金を誰が負担するかという境界線を、パートナーシップレベルか各パートナーレベルかで切り分ける制度である。

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