USCPAの次の資格としての財務モデリング(AFM/CFM)——会計知識をどう活かすか
USCPA(米国公認会計士)に合格した、あるいは学習の終盤に差しかかった人の中には、「次に何を積み上げるか」を考え始める人が少なくありません。監査・税務・経理といった会計の専門性はUSCPAで証明できますが、事業計画や投資判断を支える「将来を予測するスキル」は、USCPAの試験範囲にはほとんど含まれていません。
その空白を埋める選択肢のひとつが、FMI(Financial Modeling Institute)認定のAFM(Advanced Financial Modeler)/CFM(Chartered Financial Modeler)です。この記事では、USCPA学習者・合格者の視点から、財務モデリング資格を検討する意味を整理します。
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USCPAと財務モデリングは何が違うのか
USCPAは、米国会計基準(US GAAP)に基づいて財務諸表を正確に作成・監査・報告するための知識を証明する資格です。過去の取引を、決められたルールに従って記録・開示する力が問われます。
一方でAFM/CFMは、その財務諸表を土台にしながら「将来をどう見積もるか」「その見積もりを意思決定にどうつなげるか」を問う資格です。テンプレートなしでExcel上に3表モデルを組み立てるという実技試験である点も、選択式問題が中心のUSCPAとは大きく異なります。
簡単に言えば、USCPAは「正確に記録・報告する力」、AFM/CFMは「未来を組み立てて説明する力」を証明する資格です。両者は隣接領域にありながら、補い合う関係にあります。
USCPA学習で得た知識はどう活きるか
USCPA学習では、財務諸表の構造や会計処理の考え方を体系的に学びます。損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書がどう連動するか、収益認識やリース、税効果会計といった論点がどう財務諸表に反映されるかを理解している状態は、AFM試験で3表モデルを構築する際の土台になります。
財務諸表の「あるべき形」を知っていることは、モデルを組み立てる際に大きなアドバンテージです。ただし、それだけでAFMに合格できるわけではありません。AFM試験で問われるのは、
- Excel上でのモデル構築スキル(数式設計・可読性・ショートカット運用)
- 前提条件(成長率・利益率・運転資本回転日数など)を自分で設計するファイナンスの視点
- 限られた時間内で、初見のケースに対応する実務対応力
といった、会計知識とは別の技能です。USCPAの知識は「土台」であって、そのままモデリング力に変換されるわけではない、という前提を持っておくことが大切です。
なぜ「USCPAの次」として検討する価値があるのか
理由は大きく3つあります。
1. 会計とモデリングの両方を証明できる人材は、まだ少ない USCPAだけを持つ人、モデリングスキルだけを持つ人はそれぞれ一定数存在しますが、両方を資格として対外的に示せる人材は限られています。この組み合わせは、キャリアの選択肢を広げる差別化要素になり得ます。
2. キャリアの方向性を広げられる USCPAは監査法人やコンサルティングファーム、外資系企業の経理・財務部門で評価されますが、モデリングスキルはさらに、投資銀行・プライベートエクイティ・事業会社のFP&A(経営企画)部門など、意思決定によりコミットする職種でも評価対象になります。
3. 日本語の競合コンテンツがほぼ存在しない AFM/CFMは英語圏では認知が進んでいますが、日本語での解説情報はごくわずかです。USCPA学習者というすでに会計・英語の両方に触れている層にとって、参入のハードルは相対的に低い分野だと言えます。
検討する際に押さえておきたい注意点
一方で、安易に「USCPAの次は必ずAFM」と決めつけるべきではありません。
- AFM試験は英語で実施され、モデルの前提や結論を英語で説明する記述力も求められます
- 受験料はUSCPA同様に安くはなく、事前の演習時間も相応に必要です(詳細はAFM資格ガイドを参照)
- キャリアの軸が監査・税務であれば、モデリングスキルの優先度は必ずしも高くありません。投資判断やFP&A、経営企画といった「将来を組み立てる」仕事に関心があるかどうかで、優先度は変わります
自分のキャリアの方向性に照らして、「会計の専門性を深める」のか「会計知識をベースに意思決定支援側へ広げる」のか、目的を先に整理することが重要です。
学び始める前に整理しておきたいこと
いきなりAFM受験の申込みをする前に、以下のステップで自分の現在地を確認しておくと、遠回りを避けられます。
1. Excelでの実務レベルを棚卸しする USCPA学習ではExcelを本格的に使う場面は多くありません。関数(VLOOKUP・INDEX/MATCH・SUMIFSなど)、ショートカットでの操作速度、シート設計の基本といった、AFM試験で前提とされるExcelスキルが今どの水準にあるかを、まず自己評価しておく必要があります。
2. 3表モデルを一度、自分の手で組んでみる 架空の会社でよいので、売上・費用の仮定を置き、損益計算書からキャッシュフロー計算書まで自分の手で連動させてみると、AFM試験で何が求められるかの解像度が一気に上がります。USCPAの知識があれば、勘定科目の意味やつながりの理解でつまずくことは少ないはずです。
3. キャリアの目的地を先に決める AFM/CFMは「取得すること」自体が目的化しやすい資格でもあります。監査・税務のキャリアを深めるのか、FP&Aや投資判断側へ広げるのかによって、AFM/CFMの優先順位も、受験のタイミングも変わってきます。USCPAの学習が一段落したタイミングで、キャリアの方向性を一度棚卸ししてから判断することをおすすめします。
これらを整理したうえで、AFM資格ガイドで試験形式・費用・スケジュールの詳細を確認するのが、次のステップとして現実的な流れです。
よくある質問(FAQ)
Q. USCPA合格前でもAFMに挑戦できますか?
FMI公式にはUSCPA合格を前提条件とする記載はありません。ただし3表モデルを構築する試験である以上、財務諸表の構造理解は前提になります。USCPAのFAR(財務会計)で扱う財務諸表の知識がある段階であれば、土台としては十分です。
Q. USCPAとAFM、どちらを先に取るべきですか?
決まった順序があるわけではありませんが、USCPAで会計の基礎を固めてからAFMに進む方が、モデルの前提条件(会計処理の妥当性など)を設計しやすくなります。会計の土台がまだ不安定な段階でAFMに挑戦すると、Excel操作以前に会計面でのつまずきが生じやすくなります。
Q. USCPAの学習時間とAFMの学習時間、どちらが長くかかりますか?
USCPAは4科目合計で数百時間規模の学習が一般的とされる一方、AFMは公式に25〜75時間程度の準備が目安とされることが多く(第三者の対策プロバイダーによる目安であり、FMI公式の数値ではありません)、必要な学習量の規模はAFMの方が小さい傾向にあります。ただしExcelでの実技経験が乏しい場合は、この目安より長くかかる可能性があります。
まとめ
USCPAは「正確に記録・報告する力」、AFM/CFMは「未来を組み立てて説明する力」を証明する資格です。会計の専門性を土台に、意思決定支援側のスキルへキャリアを広げたいと考えるなら、財務モデリングは検討に値する選択肢のひとつです。
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カイロウ
USCPA全4科目一発合格(9ヶ月・働きながら)× KAIRO開発者
- 簿記2級からスタートし、留学経験のない純ジャパで働きながら9ヶ月・全4科目に一発合格
- FAR 88点(約300h)/BAR 90点(約200h・約50日)/AUD 84点(約187h・約50日)/REG 89点(約120h・約30日)
- 現在FAS業界に勤務。一次体験と実データに基づき教材を開発し、累計100部超が受験生に活用されています。
KAIRO AI 開発者|kairo-ai.jp
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