財務報告の基礎と基本財務諸表
章構成を新カリキュラムに刷新しました。旧構成との対応は移行ガイドをご覧ください。
USCPA FAR(財務会計)の学習は、まずこのChapter 1「財務報告の基礎と基本財務諸表」から始まります。FARは全14章構成で、Chapter 1では財務報告の基礎と基本財務諸表()の全体像を掴み、Chapter 2「財務諸表の注記開示とEPS・財務諸表分析」以降で各論に入っていきます。このページはカイロウのUSCPA Webテキストの一部で、登録不要・完全無料でChapter 1の全文を公開しています。独学でFARに取り組む方、これから財務会計の学習を始める方に向けて、ストーリー→インプット→演習→整理ノートの4ステップで基礎から学べる構成です。
この章で学べること
- 財務報告の基礎と基本財務諸表の全体像と、FAR全14章の中での位置づけ
- に関する基本用語・フレームワークの理解
- ストーリー教材で概念を掴み、インプット教材で暗記し、アウトプット演習で定着させる学習の型
- Chapter 2「財務諸表の注記開示とEPS・財務諸表分析」以降の学習につながる土台づくり
🦉 Episode 1: 黒字なのに、お金が足りない理由
登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(会計アドバイザリー部門)/🏢 田村さん(クライアントの経理担当者)
通帳と請求書
カイロウは先輩について、取引先の小さな受託開発会社を訪ねた。月次の帳簿を確認する仕事だった。
出迎えたのは経理担当の田村さんだった。狭い事務所の机には、ノートパソコンの脇に通帳のコピーと請求書の束が積んである。
🏢「今月は黒字なんです。通帳を見てください、残高が思ったより増えていて」
田村さんは嬉しそうに通帳のコピーを差し出した。たしかに残高は増えている。カイロウは請求書の束と見比べてみた。
🦉「あれ、この一番大きな入金、先月末に納品した案件の代金ですよね」
田村さんは元帳を覗き込んでうなずいた。
🏢「そうです、80万円の案件です。ちょうど先月末に納品しました」
🦉「今月中に終わらせた別の案件の請求書は、まだ入金されていませんね」
田村さんは手元の請求書を確認した。
🏢「本当だ。こっちの60万円は、まだ振り込まれていません」
🦉「こういうこと、毎月あるんですか」
田村さんは急に不安そうな顔になった。
🏢「言われてみれば、いつもです。まさか、うちの帳簿の付け方が間違っているんでしょうか」
カイロウは何と答えればいいのか分からなかった。田村さんはさらに続けた。
🏢「私一人で経理をやっているので、通帳の動きをそのまま記録するのが一番簡単で」
カイロウは頭の中で数字を並べてみた。今月の帳簿には80万円の入金が乗っているが、今月中に終えた60万円の仕事はまだ数字に出ていない。それでも黒字だと言われると、どこかちぐはぐな気がした。
先輩がそこで初めて口を開いた。
見方が変わった一言
先輩は帳簿と通帳を並べて置いた。
💼「田村さん、この数字は、お金が動いた日で見ているんです」
田村さんは首をかしげた。
💼「でも決算で知りたいのは、仕事が終わった日でいくら稼いだか、なんですよ」
先輩は先月納品した案件の請求書を指さした。
💼「先月のうちに仕事は終わっている。だから先月の売上として数えます。入金が今月にずれても関係ありません」
先輩は続けて、事務所の家賃の支払いを指さした。
💼「逆に、まだ使っていない来月分の家賃を先に払っても、それは来月の費用です。払った月には数えません」
田村さんは通帳と請求書を見比べて、なるほどという顔をした。
🦉「入金や支払いのタイミングじゃなくて、仕事や利用が終わったタイミングで数えるんですね」
先輩はうなずいた。
💼「フクロウは夜に活動するから、昼と夜どっちの日付で数えるか迷いそうだな」
カイロウは小さく笑ったが、すぐに真顔に戻った。もっと知りたいことがあった。
次に知りたいこと
🦉「仕事が終わった、というのは具体的にはどの時点なんですか。納品した日ですか、検収された日ですか」
先輩は資料を開きながら答えた。
💼「そこにはちゃんとしたルールがある。数字の数え方が決まったら、それを最終的にどんな表にまとめるかも決まってくる」
田村さんも横から資料を覗き込んだ。
💼「財務諸表がどう作られているかから、順番に見ていこう」
カイロウは先輩の後について、資料の続きに目を通し始めた。
Based on the AICPA Uniform CPA Examination Blueprints