KAIRO
KAIRO
8Chapter 8

事業体の設立と清算

Entity Formation and Liquidation

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 8: 器を選ぶ --- 事業体の設立と清算

朝のミーティングが終わると、先輩がカイロウをホワイトボードの前に呼んだ。ボードには5つの箱が並んでいる。「Sole Prop」「GP」「LLC」「C Corp」「S Corp」。

💼「カイロウ、ビジネスを始めるとき、最初に決めなければならないことは何だと思う?」

🦉「何を売るか……ですか?」

💼「それも大事だが、税務の観点では器を選ぶことが最初の決断だ。同じ料理でも、器によって見え方が変わるように、同じビジネスでも事業体の形態によって課税が全く変わる」

先輩はボードの5つの箱を指差しながら説明を始めた。


器の選び方

💼「判断基準は5つ。有限責任が必要か。パススルー課税を使いたいか。自営業税を節約したいか。損失を個人の申告で使いたいか。外部の投資家から資金を集めたいか」

🦉「全部を満たす完璧な器はないんですか?」

💼「ない。だからトレードオフで選ぶ。たとえばC Corpは外部資金調達に最適だが、二重課税がある。S Corpは二重課税を避けられるが、株主が100人以下で、C Corpやパートナーシップが株主になれない制約がある」

カイロウはメモを取りながら考えた。完璧な器はない。状況に応じて最適解が変わる。

💼「面白いのがLLCだ。LLCは法的には有限責任の事業体だが、税務上は自分で課税形態を選べる。これをCheck-the-box規則という。2人以上のメンバーならデフォルトはPartnership課税。でも法人課税を選ぶこともできる」

🦉「器の中に好きな仕切りを入れられるみたいですね」

💼「そういうことだ」


Section 351 --- 非課税移転のパスポート

翌日、先輩は法人設立の具体的な税務に入った。

💼「法人に資産を移転するとき、普通ならGainが認識される。BasisとFMVが違えば、売却したのと同じだからだ。でもSection 351の3つの要件を満たせば、課税は繰延される」

先輩はボードに大きく「351」と書いた。

💼「要件は3つ。第一に財産の移転であること。サービスはダメだ。第二に対価が株式のみであること。現金やその他の財産(Boot)を受け取ると、その範囲でGainが認識される。第三に移転者グループが直後に80%以上を支配すること」

🦉「なぜサービスは財産に含まれないんですか?」

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

CPA Exam Blueprint(試験設計図) とは、AICPA(米国公認会計士協会)が公式に公表している「試験で何が、どのくらいの比率で、どのレベルで問われるか」を定めた文書です。 全ての出題はこのBlueprintに基づいて作成されます。つまり Blueprintを知ることは、試験の設計者の意図を知ること です。

項目内容
所属エリアArea III -- Federal Taxation of Entities
Blueprint参照III-A: Tax computations and entity selection; III-D: Formation and liquidation
エリア出題比率28--38%(Area III全体)
求められるスキルレベルApplication / Analysis --- Section 351の要件判定、Basis計算、清算時のGain/Loss認識、事業体選択の総合判断が求められる

このChapterのポイント: 事業体の設立(Formation)と清算(Liquidation)は、Ch5-7で学んだPartnership・C Corp・S Corpの知識を横断的に問う「入口と出口」の論点。設立時はSection 351(法人)とSection 721(パートナーシップ)の非課税移転要件・Basis計算清算時はSection 331/336(完全清算)とSection 332/337(親子会社清算)、パートナーシップのSection 731/736が最頻出。TCPはREGより一段深いApplication/Analysisレベルを要求するため、TBSで複数ステップの計算(Boot認識Gain→Stock basis→法人Asset basis)を最後まで解ききる訓練が必要。さらにTCPではChoice-of-entity(事業体選択)の税務比較Exit Planning(§1202 QSBS等の出口戦略)が単独の出題領域として重視される。

前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
パートナーシップの設立・Basis(Ch5)パートナーシップへの拠出は原則非課税。この原則をC Corp(Section 351)と比較するため
C Corporationの課税(Ch6)C Corpの二重課税構造を理解した上で、設立時・清算時の課税ルールを学ぶ
S Corporationの選択(Ch7)S Corpの特性を知った上で、事業体選択の判断基準を理解する
Outside basis / Inside basisの区別パートナーのBasis(Outside)とパートナーシップ資産のBasis(Inside)を区別できないと清算計算で崩れる

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【TCPの全体像マップ】

続きとアウトプット演習・整理ノートはTCP教材(購入者限定)でご覧いただけます。

この章は購入者限定コンテンツです

Chapter 1は無料でお読みいただけます。Chapter 2以降は教材を購入するとすべてご覧いただけます。