KAIRO
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3Chapter 3

個人パート3 贈与税と遺産税

Individual Part 3: Gift and Estate Taxation

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 3: 見えない税金 --- 贈与税と遺産税の世界

水曜日の朝。カイロウが事務所に着くと、先輩が電話を終えたところだった。メモには「富裕層クライアント・相続対策相談」と書かれている。

💼「カイロウ、今日は新しい世界に入る。これまで学んだ所得税は『稼いだお金にかかる税金』だったが、今日は『あげたお金にかかる税金』と『残した財産にかかる税金』だ」

🦉「贈与税と遺産税ですか?」

💼「そう。Gift TaxとEstate Tax。この2つは実は1つの体系---Unified Transfer Tax---として設計されている。生前に財産を移転しても、死亡時に移転しても、合計で同じ税負担になるようにできている」

🦉「なぜ1つの体系にしたんですか?」

💼「もし贈与税がなかったらどうなる? 富裕層は死ぬ前に全財産を子供にあげてしまえば、遺産税を完全に回避できる。だから生前贈与にも課税して、回避を防いでいる」

カイロウは目を丸くした。税法は常に「抜け穴をどう塞ぐか」という視点で設計されている。


年間除外額 --- $18,000の壁

💼「まず最も重要なルールから。年間除外額(Annual exclusion)。現在1人あたり年間$18,000まで贈与税がかからない」

🦉「1人あたりということは、10人にあげたら$180,000まで非課税ですか?」

💼「そうだ。しかも夫婦でGift splittingをすれば、1人あたり$36,000になる。つまり夫婦で10人にあげれば$360,000が年間除外の範囲内だ」

🦉「かなりの金額ですね。でも、年間除外の対象にならない贈与もあるんですか?」

💼「いい質問だ。年間除外が使えるのはPresent interestの贈与だけだ。将来の利益---Future interest---には年間除外は適用されない」

🦉「Present interestとFuture interestの違いは?」

💼「受領者が今すぐ使用・享受・占有できるのがPresent interest。将来のある時点まで使えないのがFuture interest。例えば、信託に入れて『30歳になったら引き出せる』とすると、それはFuture interestだ」

カイロウはノートに「Annual exclusion → Present interestのみ」と書き込んだ。この区別は試験で繰り返し問われるはずだ。


統一クレジットと累積計算

先輩は大きな数字をホワイトボードに書いた。$13,610,000

💼「これが2024年時点のUnified credit相当額。生涯を通じてこの金額まで贈与税も遺産税もかからない」

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

CPA Exam Blueprint(試験設計図) とは、AICPA(米国公認会計士協会)が公式に公表している「試験で何が、どのくらいの比率で、どのレベルで問われるか」を定めた文書です。 全ての出題はこのBlueprintに基づいて作成されます。つまり Blueprintを知ることは、試験の設計者の意図を知ること です。

項目内容
所属エリアArea I -- Tax Compliance and Planning for Individuals and Personal Financial Planning
Blueprint参照I-C: Gift taxation, I-D: Estate taxation
エリア出題比率33--37%
求められるスキルレベルApplication --- 贈与税・遺産税の計算手順、統一税額控除の適用、Basisの判定が中心。TBSでは複数年の累計計算、Form 706の総合問題が出る

このChapterのポイント: 贈与税と遺産税は「移転課税(Transfer tax)」の世界。所得税とは全く異なる体系で、「誰が」「何を」「いつ」移転したかで課税が決まる。2025年7月4日成立のOBBBA(HR1/P.L.119-21)により統一控除額が恒久的に大幅増額され(TY2025 $13.99M → TY2026 $15M)、実務上ほとんどの納税者が遺産税を負担しない時代になった。だからこそ試験では「控除額を正しく適用できるか」「累計方式の計算メカニズムを理解しているか」がより重視される。

前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
Chapter 1: Gross Incomeの非課税項目贈与と相続は所得税では非課税(§102)。「所得税で非課税 ≠ 完全に非課税」であり、移転課税として別途課税される可能性がある
FMV(公正市場価値)の概念贈与税・遺産税の計算基準はFMV。取得原価ではない
累進税率の仕組み贈与税・遺産税も累進税率(最高40%)を採用している

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【TCP科目の全体構造】

個人所得税                    事業体課税                その他
├ Ch1: 総所得と控除           ├ Ch5: パートナーシップ     ├ Ch9: 信託と遺産
├ Ch2: 損失控除制限           ├ Ch6: C Corporation       ├ Ch10: その他
├ Ch3: 贈与税・遺産税 ← 今ここ ├ Ch7: S Corporation       └ Ch11: 資産取引
└ Ch4: ファイナンシャルプランニング └ Ch8: 設立と清算

Chapter 1-2で「所得に対する課税」を学んだ。Chapter 3では、所得税とは全く異なる「移転課税(Transfer tax)」の世界に入る。

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