KAIRO
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2Chapter 2

個人パート2 損失控除制限

Individual Part 2: Loss Limitations

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 2: 3つのゲートと「タックスシェルターの亡霊」

税務部門での2週間目。カイロウのデスクには、パートナーシップのK-1フォームが積み上がっていた。先輩が横から覗き込む。

💼「このクライアント、複数のパートナーシップに投資している。それぞれの活動から損失が出ているが、全額を控除できるわけではない」

🦉「え、損失は損失じゃないですか? マイナスの所得があれば、プラスの所得から引けるのでは?」

💼「甘い。それが通用したのは1980年代までだ。当時、高所得者たちは面白いことを考えた。自分のお金をほとんど出さずに、ペーパー上の巨額な損失を作り出し、給与所得と相殺して税金をゼロにしたんだ。タックスシェルターと呼ばれた」

🦉「ペーパー上の損失?」

💼「例えば、$10,000の自己資金と$90,000のノンリコースローンで$100,000の不動産を買う。減価償却で$100,000の損失が出る。でも実際にリスクを負っているのは$10,000だけ。ノンリコースだから返済できなくても物件を手放せば終わり。つまり$10,000しかリスクがないのに$100,000分の税メリットを得ていた」

カイロウの目が大きく見開いた。フクロウの夜目が暗いオフィスの隅々まで見通すように、このスキームの不公平さが見えた。

🦉「それは......ずるいですね」

💼「だから議会が3つの『ゲート』を作った。損失がForm 1040に到達するまでに、3つの関門を通過しなければならない」

先輩はホワイトボードに図を描き始めた。

💼「第1ゲート: Basis limitation。投資額を超えて損失は引けない。第2ゲート: At-risk rules。経済的リスクを負っている金額まで。第3ゲート: Passive activity loss rules。消極的な活動の損失は、消極的な所得からしか引けない」

🦉「3段階のフィルターですね」

💼「そう。しかも順番が大事。Basis、At-risk、Passive。この順番で適用する」

カイロウは翼の先で必死にメモを取った。


午後、具体的なケースに取り掛かった。あるクライアントが賃貸アパートを所有していて、年間$30,000の損失が出ている。クライアントのAGIは$130,000。

🦉「先輩、このクライアントは賃貸不動産の損失を控除できますか?」

💼「いい質問だ。まず、賃貸活動は原則としてpassive activityだ。だからpassive lossはpassive incomeからしか引けない」

🦉「じゃあ、全く引けないんですか?」

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

CPA Exam Blueprint(試験設計図) とは、AICPA(米国公認会計士協会)が公式に公表している「試験で何が、どのくらいの比率で、どのレベルで問われるか」を定めた文書です。 全ての出題はこのBlueprintに基づいて作成されます。つまり Blueprintを知ることは、試験の設計者の意図を知ること です。

項目内容
所属エリアArea I -- Tax Compliance and Planning for Individuals and Personal Financial Planning
Blueprint参照I-A: Individual income tax -- loss limitation rules
エリア出題比率33--37%
求められるスキルレベルApplication / Analysis --- 損失制限の適用順序と計算、租税計画(planning)が問われる

このChapterのポイント: 損失控除制限は「いくら損失があっても、全額を無条件に控除できるわけではない」というルール群。Basis → At-risk(§465)→ Passive(§469)→ Excess business loss(§461(l)) という4つのゲートを正しい順序で通過させる能力が問われる。TCPはREGより一段深い「Application/Analysis」レベルであり、複数年度にまたがるSuspended lossの管理、資産処分時の損失解放、そしてOBBBA(2025年税制改正)で恒久化された§461(l) の閾値計算まで、実務的な租税計画(Tax Planning)の視点で出題される。

前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
Chapter 1: 個人所得税の計算フロー損失控除はGross Income → AGI → Taxable Incomeの流れの中で「どこで引けるか」を決める。計算フロー全体が分かっていないと、損失制限の位置づけが分からない
Basis(税務基準額)の概念損失控除の最初の関門がBasis limitation。Basisを理解していないと、損失がなぜ制限されるのかが分からない
パートナーシップ・S Corporationの基礎損失制限はパススルー事業体の所得・損失で特に重要。Chapter 5-7で詳しく学ぶが、概念だけ知っているとこの章の理解が早い

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【TCP科目の全体構造】

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