業務継続計画
Business Continuity Plan
ストーリー(冒頭プレビュー)
🦉 Episode 6: 嵐への備え --- 業務継続計画
入社6日目。カイロウがオフィスに着くと、フロア全体がいつもと違う空気だった。非常灯が点灯し、防災訓練のアナウンスが流れている。
💼「ちょうどいい。今日のテーマはBCP——業務継続計画だ。災害が起きても事業を止めない。そのための事前計画を学ぶ」
🦉「昨日のリスクマネジメントの実践版ですね」
💼「その通り。リスクマネジメントが『リスクを識別・評価・対応する枠組み』なら、BCPは『リスクが顕在化した時の具体的な行動計画』だ」
BCPとは --- 「混乱を手順に変える」
💼「想像してみろ。データセンターが地震で被害を受けた。電力が止まり、サーバーにアクセスできない。顧客からの注文は入り続けているが、受注システムが動かない」
🦉「パニックになりそうです」
💼「だろう。BCPがなければ、混乱の中で場当たり的に対応することになる。BCPがあれば、『まずこれをやる。次にこれをやる。責任者はこの人。代替手段はこれ』と手順に沿って動ける」
カイロウは森の中の嵐を思い出した。突然の暴風が来たとき、フクロウの群れには暗黙のルールがあった。「ヒナは巣穴の奥に。成鳥は風上に立って盾になる。巣が壊れたら、予備の巣穴に移動」。それがフクロウ版のBCPだ。
💼「大事なのは、BCPはITの復旧計画だけではないということ。人事、施設、サプライチェーン、顧客対応——事業全体が対象だ。ITの復旧はBCPのサブセットで、これをDRP(災害復旧計画)と呼ぶ。DRPはChapter 7で詳しく学ぶ」
BIA --- 「何を先に救うか」
💼「BCPの心臓部がBIA(ビジネスインパクト分析)だ。全ての業務プロセスを評価して、『止まったら最もダメージが大きいのはどれか』を特定する」
🦉「全部大事に見えますけど……」
💼「だからBIAが必要なんだ。例えば、受注システムが1日止まると売上に直結する。でも社内の福利厚生ポータルが1日止まっても、経営には大きな影響はない。限られたリソースで復旧するなら、受注システムが先だ」
🦉「トリアージですね。救急医療で重症者を優先するのと同じ」
💼「いい例えだ。BIAでは2つの指標を使う。RTOとRPOだ」
先輩はホワイトボードにタイムラインを描いた。
💼「RTO(Recovery Time Objective)は『どのくらいの時間で復旧しなければならないか?』。基幹システムのRTOが4時間なら、4時間以内に復旧させなければならない」
インプット(冒頭プレビュー)
この章の試験での位置づけ
CPA Exam Blueprint(試験設計図) とは、AICPAが公式に公表している「試験で何が、どのくらいの比率で、どのレベルで問われるか」を定めた文書です。 全ての出題はこのBlueprintに基づいて作成されます。つまり Blueprintを知ることは、試験の設計者の意図を知ること です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所属エリア | Area IV -- System and Organization Controls (SOC) for Service Organizations |
| Blueprint参照 | IV-B: Business continuity planning, IV-C: Disaster recovery |
| エリア出題比率 | 15--25% |
| 求められるスキルレベル | Application(適用) --- BCPの各プロセスやRTO/RPO/MTDの関係を具体的なシナリオに適用する |
このChapterのポイント: 業務継続計画(BCP)は「災害・障害が起きても事業を止めない、止まっても素早く戻す」ための計画。BCPライフサイクル(プロジェクト開始→BIA→戦略→計画→テスト→維持)、BIAが特定する重要業務プロセスと依存関係、MTD・RTO・RPO・WRT・MTTR/MTTF/MTBFの各指標の関係、5段階のBCPテスト、計画のガバナンス・役割・維持管理が最頻出。Chapter 7の災害復旧計画(DRP)はBCPの一部(サブセット)であり、この章で学ぶBIAの数値(RTO/RPO)がChapter 7でそのまま復旧戦略の設計基準になる。
前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと
| 前提知識 | なぜ必要か |
|---|---|
| Chapter 5のリスクマネジメント | BCPはリスクマネジメントの実践的な適用。リスクの識別・評価・対応の概念が基盤になる |
| Chapter 1のハードウェア・ネットワーク | BCPでは物理的なインフラの冗長化や代替施設が議論される。IT基盤の理解が前提 |
| 内部統制の基本的な考え方(Chapter 4) | BCPは主に「発生後の被害を限定する」性質の統制(是正的・復旧的統制)。統制の分類の中でどこに位置づくかが分かると整理しやすい |
1. なぜこの論点が必要か(Why)
ISC科目の全体像 --- 今どこにいるか
【ISC科目の全体構造】
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