KAIRO
KAIRO
2Chapter 2

業務アプリケーション・ITの役割・新興テクノロジーとデータガバナンス

Part 1: 情報システムとデータ管理Blueprint Area I 対応・配点 35-45%読了目安 約138分

章構成を新カリキュラムに刷新しました。旧構成との対応は移行ガイドをご覧ください。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 2: 一人で回している部署

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(IT監査部門)/🏢 大野さん(クライアントの情報システム担当)

一人で全部やっている

訪問先は、県内に十数店を構える食品スーパーだった。本部の一室には来月のセール告知のポスターが貼られ、大野さんのデスクには対応待ちの案件を書いたメモが何枚も重なっていた。情報システム担当の大野さんが、胸を張って説明してくれた。

🏢「うちはシステムのことは全部、私一人でやっています。レジのシステムに変更が必要なら、自分でプログラムを直して、自分でテストして、自分でお店の端末に反映させます」

🦉「これだけの店舗数のレジを、一人で見ているんですか」

🏢「開店したときからずっとそうなんです。他の仕事も兼任していますし、それが一番早いので」

大野さんはパソコンの画面を見せながら、先月のセールで38品目の割引率を一括で直したときの記録を開いた。修正の申請も、テストの記録も、反映の作業も、すべて同じ名前で並んでいる。

🦉「申請者の欄も、テスト実施者の欄も、承認者の欄も、全部『大野』さんなんですね」

🏢「承認できる人が他にいないので、自分の名前を入れるしかないんです」

大野さんは少し気まずそうな顔をして、声を落とした。

🏢「実はあのセール、1品目だけ9%引きのつもりで90%引きと打ってしまって、公開する直前まで気づかなかったんです」

🦉「90%引きだと、ほとんど値段が付かないような状態ですよね。どうやって気づいたんですか」

🏢「たまたまお店の店長から、本当にこんなに安くしていいんですかと電話がかかってきて、それで直せました」

大野さんはファイルの端に貼った付箋を指さした。そこには「反映は前日18時」とだけ書いてある。電話がなければ、次の日の開店と同時にそのままレジへ反映されるところだった。

カイロウは首を大きく傾けて画面をのぞきこんだ。先輩が小さく笑った。

💼「フクロウは首がよく回るね」

先輩の一言

先輩はその画面をしばらく見てから、静かに言った。

💼「早いのはいいことだけど、直した人と確かめる人が同じだと、何かあっても気づけないよね。今回は店長さんが電話をくれたから直せただけで、いつもそうとは限らない」

🦉「大野さんが間違えても、社内では気づかれないままだったかもしれないってことですか」

大野さんは少し驚いた顔をした。

🏢「言われてみれば、直したあとに誰かに見てもらったことは一度もないですね」

🦉「兼任が多くて、大野さん以外に見られる人もいなさそうですもんね」

🏢「そうなんです。増員もなかなか通らなくて」

💼「人を増やすのが難しいのは、監査先でもよく聞く話だよ」

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea I: 情報システムとデータ管理(Information Systems and Data Management)
Blueprint参照I-A 情報システム(Information systems)の後半部分/I-B データ管理(Data management)の前半部分
エリア出題比率35%〜45%

⏱ 読了目安: 約138分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。

Area Iは出題比率35〜45%と、ISC全体でも配点の大きいエリアである。本章はその継ぎ目にあたり、前半は「業務の現場でITが具体的に何をしているか」、後半は「そのITが生み出したデータを組織としてどう管理するか」を扱う。


前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
業務プロセスの大まかな流れ(受注 → 出荷 → 請求 → 入金など)本章の業務アプリケーションの説明は、この流れのどこにシステムが介在するかを前提に読むと理解が速い
「システム」と「アプリケーション」の位置関係の感覚会計システムなどの業務アプリケーションは、サーバーやネットワークといったより広いIT基盤の上で動く一部分にすぎない。この階層感を持っておくと、本章で扱う範囲の切り分けが楽になる
内部統制という考え方の大枠(COSOという名称と、統制活動という言葉の存在)職務分掌やデータガバナンスは、内部統制という大きな考え方の応用形にあたる。COSOの各構成要素の詳細は後の章で扱うが、名前だけ先に触れておくと本章の説明がつながりやすい
構造化データと非構造化データの違い表形式で整理しやすいデータか、文章・画像のように整理しにくいデータかによって、管理方法や分類の難しさが変わる場面が本章に出てくる

1. なぜこの論点が必要か(Why)

ISCという科目名の由来は Information Systems and Controls である。その最初のエリアが本章の舞台になる。Area Iはさらに2本の柱に分かれており、1本目は組織が業務を回すために何を使っているかという柱(情報システム)、2本目はそのシステムが生み出した情報をどう扱うかという柱(データ管理)である。

【この章がカバーする範囲】

I-A 情報システム(後半)           I-B データ管理(前半)
業務アプリケーション(ERP等)
 → 業務プロセスにおけるITの役割
 → IT組織の役割・職務分掌
 → 新興テクノロジー(AI・ML/ブロックチェーン/RPA/IoT)
    → データライフサイクル → データ分類
    → データガバナンス → データ保持・廃棄 → マスターデータ管理(MDM)

              ← 今ここ:Chapter 2 全体 →

続きとアウトプット演習・整理ノートはISC教材(購入者限定)でご覧いただけます。

この章は購入者限定コンテンツです

Chapter 1は無料でお読みいただけます。Chapter 2以降は教材を購入するとすべてご覧いただけます。