ストーリー(冒頭プレビュー)
🦉 Episode 15: 「診るだけ」の仕事と「整えるだけ」の仕事
カイロウが監査法人に入ってから半年。ある日、上司から声をかけられた。
💼「今日は少し毛色の違う仕事だ。監査じゃない」
🦉「監査じゃない? でも僕たち、監査法人ですよね?」
💼「会計事務所がやる仕事は監査だけじゃない。レビュー(Review) と コンピレーション(Compilation) という業務もある。今日のクライアントは非公開企業(nonissuer)で、監査までは求めていない」
事務所の会議室で、先輩はホワイトボードに3つの業務を縦に並べて書いた。
💼「上から順に保証のレベルが高い。監査(Audit) は合理的保証(reasonable assurance)、レビュー は限定的保証(limited assurance)、コンピレーション は保証なし(no assurance)だ」
🦉「保証なしって、何をするんですか?」
💼「コンピレーションは、クライアントから渡された情報をもとに財務諸表の体裁を整える仕事だ。数字が正しいかどうかを確認する責任はない。いわば『財務諸表の清書係』だな」
🦉「それなら独立性(independence)も不要ですか?」
💼「いい質問だ。コンピレーションは独立性がなくても実施できる。ただし、独立していない場合はその旨を報告書に記載する必要がある」
場面は変わって、カイロウは先輩とともにクライアント企業のオフィスを訪れていた。今回はレビュー業務だ。
💼「レビューでやることは主に2つ。質問(Inquiry) と 分析的手続(Analytical Procedures) だ」
🦉「監査みたいに確認状(confirmation)を送ったり、実査(inspection)をしたりはしないんですか?」
💼「しない。レビューは監査より本質的に範囲が狭い(substantially less in scope)。だから提供できるのは限定的保証(limited assurance)---つまり消極的保証(negative assurance)だけだ」
🦉「消極的保証って何ですか?」
💼「『重要な修正が必要な事項は見つからなかった(not aware of any material modifications)』という言い方だ。『正しい』とは言わない。『問題は見つからなかった』と言う。健康診断で『異常なし』と言われるのと、精密検査で『問題ありません』と言われるのとの違いだな」
カイロウは感心して翼をぱたぱたさせた。同じ「調べる」でも、どこまで深く調べるかで、言えることの強さが変わるのだ。
インプット(冒頭プレビュー)
この章の試験での位置づけ
CPA Exam Blueprint(試験設計図) とは、AICPA(米国公認会計士協会)が公式に公表している「試験で何が、どのくらいの比率で、どのレベルで問われるか」を定めた文書です。 全ての出題はこのBlueprintに基づいて作成されます。つまり Blueprintを知ることは、試験の設計者の意図を知ること です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所属エリア | Area IV -- Forming Conclusions and Reporting(結論の形成と報告) |
| Blueprint参照 | IV-C: Preparation, compilation, and review engagements |
| エリア出題比率 | 15--25% |
| 求められるスキルレベル | Application(適用) --- 各業務の特徴を理解し、適切な手続・報告書を判断する力が問われる |
このChapterのポイント: Chapter 15は監査以外の会計業務を扱う。レビュー・コンピレーション・作成の3つの業務を、保証水準・手続・報告書・独立性の4軸で整理的に比較できれば得点源になる。 3業務の保証水準の比較、レビュー手続(質問+分析的手続)、コンピレーション報告書の独立性記載 が最頻出。
前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと
| 前提知識 | なぜ必要か |
|---|---|
| 監査報告書の構造(Chapter 3) | レビュー報告書・コンピレーション報告書と比較する際に、監査報告書のフォーマットを知っていると違いが明確になる |
| 監査手続の種類(Chapter 8) | レビューでは「やらない手続」が多い。何が監査固有の手続かを知っていると、レビューの範囲の狭さが理解しやすい |
| 独立性の概念(Chapter 19) | レビューとコンピレーションで独立性の要件が異なる。独立性の基本概念を知っているとスムーズ |
| 分析的手続(Analytical Procedures) | レビューの中核手続。Chapter 8で学んだ分析的手続の知識がそのまま使える |
1. なぜこの論点が必要か(Why)
監査プロセスの全体像 --- この章の位置づけ
【監査の全体フロー】
契約 計画 リスク評価 内部統制の 統制テスト 実証性テスト 完了手続 報告
(Ch5) → (Ch5) → (Ch2) → 理解(Ch6) → (Ch7) → (Ch8-9) → (Ch10-11) → (Ch3-4)
↑
Ch15は「監査以外のサービス」を扱う
続きとアウトプット演習・整理ノートはAUD教材(購入者限定)でご覧いただけます。