KAIRO
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14Chapter 14

証明業務と会計・レビュー業務

Part 4: 結論の形成と報告Blueprint Area IV 対応・配点 10-20%読了目安 約96分

章構成を新カリキュラムに刷新しました。旧構成との対応は移行ガイドをご覧ください。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 14: 質問で確かめる仕事

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(監査部門)/🏢 宮下さん(クライアントの経営者)

テスト計画のない業務

朝一番に新しい業務ファイルを渡され、カイロウはいつもの手順でサンプリング計画を探した。これまで担当した現場は、どれも実査や確認状が当たり前にあり、分厚い調書一式が机に積まれていた。ところが、どのページにもサンプル件数の記載がない。あるのは、経営者への質問リストと、売上高の月ごとの推移表、それに簡単な財務比率の表だけだった。

🦉「先輩、このファイル、実査や確認状の指示がありません。テスト計画も見当たらないんですが」

💼「今回はレビュー業務だ。監査とは別の種類の仕事だよ」

🦉「監査を小さくした版みたいなものですか。手続きが少ないだけで」

💼「違う。小さくした監査じゃない。質問と分析的手続で確かめる、別の仕事だ」

🦉「証憑を突き合わせる作業は、本当に一切しないんですか」

💼「今回はしない。数字の動きに説明がつくかどうかを見ていく」

🦉「これだと、監査より早く終わりそうですね」

💼「早いし、報告書も薄い。その代わり、言えることも限られる」

カイロウは推移表をもう一度見た。前年同月と比べて売上が大きく動いた月に、付箋で「経営者に理由を確認」と書き添えてある。細かい証憑を一枚ずつ突き合わせる作業は、どこにも予定されていなかった。分厚いはずの調書ファイルが、今回はずいぶん薄い。

現場での納得

数日後、パン屋を数店舗経営する宮下さんのもとを訪れた。厨房から焼きたてのパンの匂いが漂ってくる。レジ横の黒板には、今日のおすすめパンが書かれていた。

🏢「今年は店舗の賃貸契約の更新で、大家さんからレビュー済みの決算書を求められただけなんです。銀行の融資は関係ないので」

🦉「去年までは監査を受けていたんですよね。今年はレビューで足りるんですか」

💼「契約で求められている保証の水準に合わせて、業務の種類を選ぶ。宮下さんの場合は、今回はこれで十分ということだ」

🏢「監査だと費用も期間もかかりますから、正直助かっています」

🦉「費用が抑えられるのも、業務を選ぶ理由になるんですね」

宮下さんは月ごとの売上の増減について、天候やイベントの影響を落ち着いて説明した。新商品を出した月に売上が伸びたことも、雨が続いた月に客足が落ちたことも、数字と一致していた。カイロウはその説明を聞きながら、質問と分析だけでも、数字の妥当性を確かめられる場面があるのだと感じた。

本編で知りたいこと

事務所に戻る道で、カイロウは先輩に聞いた。

🦉「監査とレビューの間には、他にも業務の種類があるんですか」

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea IV --- 結論の形成と報告(Forming Conclusions and Reporting)
Blueprint参照Area IV-B(証明業務に関する報告)/Area IV-C(会計およびレビュー業務)
エリア出題比率10---20%(Area IV全体)

この章では、監査以外の「結論を表明する業務」---証明業務(アテステーション、Attestation)と会計・レビュー業務(SSARS)---を扱う。業務ごとに保証の水準が違うという一点を正確に押さえることが、この章全体の理解の鍵になる。

前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
監査意見の類型(無限定・限定・不適正・意見不表明)証明業務・レビュー業務の結論表現も、保証の強さという同じ発想で理解できるため
独立性の判定基準(カバードメンバー・金銭的利害関係の区分など)検証業務・レビュー業務は独立性が必須、コンパイル業務は独立性がなくても実施できるという違いの前提になるため
十分かつ適切な証拠という考え方保証水準によって必要な証拠の量と質が変わることを理解する土台になるため
経営者確認書(Written representations)の役割証明業務・レビュー業務でも監査と同様に書面での確認を得る場面があるため

1. なぜこの論点が必要か(Why)

すべての企業が「監査」を必要としているわけではない。銀行融資に一定の保証があれば足りる会社もあれば、社内の管理目的で体裁の整った財務諸表があれば十分な会社もある。会計・監査の実務家が提供できるサービスは監査だけではなく、目的に応じて何段階もの「保証の強さ」が用意されている。

健康診断にたとえるとわかりやすい。人間ドックのような精密検査(監査に相当)を受ける人もいれば、特定の疾患だけを診る専門外来の検査(検証業務に相当)を受ける人もいる。問診と触診程度で「大きな異常はなさそうだ」と確認する簡易健診(レビュー業務に相当)もあれば、依頼された1項目だけを測定して報告する検査(合意された手続業務に相当)、本人の自己申告をそのまま清書するだけの問診票のような役務(コンパイル業務・作成業務に相当)もある。

【保証水準のスペクトラム】

  高い(強い保証) ←──────────────────────────────→ 低い(保証なし)

    監査        検証業務       レビュー業務      合意された手続      コンパイル/作成業務
  (Audit)    (Examination)    (Review)            (AUP)         (Compilation/Preparation)
                 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
                 ← 今ここ:Area IV-B(証明業務)とArea IV-C(会計・レビュー業務)の報告類型 →

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