簿記からのステップアップとしての財務モデリング(AFM/CFM)
簿記2級・1級を取得したあと、「この知識を次にどう活かすか」で立ち止まる人は多いはずです。実務経験を積む、1級に進む、USCPAのような上位資格に挑戦する——選択肢はいくつかありますが、あまり知られていないもうひとつの道が財務モデリング資格です。
FMI(Financial Modeling Institute)認定のAFM(Advanced Financial Modeler)は、簿記で培った「財務諸表を読み解く力」を、「将来の財務諸表を組み立てる力」へと発展させる資格です。この記事では、簿記学習者の視点からこの資格を検討する意味を整理します。
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簿記と財務モデリングの関係
簿記で学ぶのは、日々の取引を仕訳し、決算整理を経て損益計算書・貸借対照表を完成させる一連の記帳プロセスです。つまり簿記は「過去に起きたこと」を正確に記録・集計する技術です。
一方、財務モデリングは「これから起きること」を数字で組み立てる技術です。売上や費用の伸びをどう仮定するか、その仮定が3表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)にどう波及するかを、Excel上でシミュレーションします。
両者は別の技術ですが、無関係ではありません。簿記で3表の構造と勘定科目の意味を理解していることは、モデルを組み立てる際の土台になります。 貸借対照表とキャッシュフロー計算書がどう連動するか、減価償却や運転資本が何を意味するかを知らないままモデルを組むと、数字はつながっているように見えても、実態を反映しないモデルになりがちです。
簿記だけでは足りない部分
簿記の知識だけでAFM試験に臨むのは現実的ではありません。AFMで問われるのは、記帳のルールではなく、以下のようなスキルです。
- Excelでのモデル構築力: 数式設計、関数の使い分け、ショートカットを使った作業速度、モデルの可読性
- 前提条件を設計するファイナンスの視点: 売上成長率・利益率・回転日数といった仮定を、ビジネスの実態に即して自分で置く力
- 時間内に初見の課題へ対応する実務対応力: 4時間でテンプレートなしの3表モデルを完成させる、実技試験としての側面
簿記が「決まったルールに従って正確に記録する」訓練であるのに対し、AFMは「決まっていない未来を、根拠を持って仮定し、組み立てる」訓練です。求められる思考の向きが逆であるとも言えます。
簿記からのステップアップとして検討する意味
簿記2級・1級を取ったあとの選択肢としてよく比較されるのはUSCPAですが、財務モデリングにはUSCPAとは異なる特徴があります。
1. 学習範囲が絞られている USCPAが会計・監査・税務・ビジネス法規まで幅広い範囲をカバーするのに対し、AFMは「3表モデルの構築」という一点に特化した試験です。準備にかかる時間の規模は、USCPAより小さく収まる傾向があります(第三者の対策プロバイダーの目安では25〜75時間程度とされていますが、FMI公式の数値ではなく、Excel経験の有無によって大きく変わります)。
2. 実務直結度が高い 簿記の知識をそのまま活かしつつ、事業会社の経営企画・FP&A部門や、コンサルティングファームでの事業計画支援など、より実務に近い場面で評価されるスキルを証明できます。
3. 競合がほとんどいない 日本語での解説情報がほぼ存在しない分野のため、早い段階で学び始めること自体が差別化になります。
一方で、AFM試験は英語で実施されるため、英語での問題理解とモデルの説明記述力が必要になる点は、事前に理解しておくべき制約です。
どちらに進むべきか、目的で考える
簿記のあとの一歩は、目的によって適した選択肢が変わります。
- 会計専門職(経理・税理士・公認会計士)を目指すなら: 簿記1級やUSCPAのような会計系資格を優先する方が実務要件に直結します
- 経営企画・FP&A・投資判断など、意思決定支援側のキャリアに関心があるなら: 財務モデリングは早い段階で検討する価値があります
- 英語×会計というグローバルなキャリアを志向するなら: USCPAで会計の土台を固めたうえで、AFM/CFMへ進むという順序も選択肢になります(詳しくはUSCPAの次の資格としての財務モデリングを参照)
いずれの場合も、まずはAFM資格ガイドで試験形式・費用・難易度の全体像を把握したうえで判断することをおすすめします。
簿記の知識を土台に、何から始めればよいか
「財務モデリングに興味は出てきたが、何から手をつければいいかわからない」という人は多いはずです。以下の順番で取り組むと、簿記の知識を無駄にせずに済みます。
1. Excelの基本操作を実務レベルまで引き上げる 簿記の学習は電卓・手書き・会計ソフトが中心で、Excelを本格的に使う場面は多くありません。関数(SUMIFS・VLOOKUP・INDEX/MATCHなど)、ショートカットでの操作速度、シート設計の基本など、AFM試験で前提とされるExcelスキルを、まず実務レベルまで引き上げる必要があります。
2. 簡単な3表モデルを自分の手で組んでみる 架空の会社でよいので、売上・費用の伸び率を仮定し、損益計算書からキャッシュフロー計算書までを自分の手で連動させてみると、モデリングで何が求められるかの解像度が上がります。簿記の知識があれば、勘定科目の意味や貸借対照表とキャッシュフロー計算書のつながりでつまずくことは少ないはずです。
3. 数字の「作り方」ではなく「仮定の置き方」を意識する 簿記では取引が発生した時点でのルールが決まっていますが、モデリングでは「来期の売上成長率を何%と仮定するか」を自分で決める必要があります。この仮定を、根拠を持って説明できるかどうかが、モデリングの実務力を左右します。
これらのステップを踏んだうえで、AFM資格ガイドで試験形式や受験料、スケジュールの詳細を確認するのが現実的な流れです。
よくある質問(FAQ)
Q. 簿記2級の知識だけでAFMに挑戦できますか?
FMI公式に簿記資格を前提条件とする記載はありません。ただし3表の構造理解は前提に近いため、簿記2級レベルの知識があれば土台としては十分です。Excelでのモデル構築経験がない場合は、その部分の学習時間を別途見込む必要があります。
Q. 簿記1級とAFM、どちらを先に取るべきですか?
税理士試験の受験資格が必要など、会計専門職としての要件を優先するなら簿記1級が先です。将来的にFP&Aや投資判断側のキャリアに関心があるなら、簿記2級からAFMへ進むという順序も現実的な選択肢です。
Q. 独学でAFM対策はできますか?
FMI公式サイトでは受験料に一定期間の学習リソースへのアクセスが含まれています。それに加えて外部の対策講座を利用するかどうかは、Excelでのモデリング経験の有無によって判断が分かれます。一律の正解はないため、まず自分のExcelスキルの棚卸しから始めることをおすすめします。
まとめ
簿記は「過去を正確に記録する力」、財務モデリングは「未来を組み立てる力」です。簿記で培った3表の理解を土台に、Excelでのモデル構築力とファイナンスの視点を加えることで、経営企画やFP&Aといった意思決定支援側のキャリアへ選択肢を広げられます。
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カイロウ
USCPA全4科目一発合格(9ヶ月・働きながら)× KAIRO開発者
- 簿記2級からスタートし、留学経験のない純ジャパで働きながら9ヶ月・全4科目に一発合格
- FAR 88点(約300h)/BAR 90点(約200h・約50日)/AUD 84点(約187h・約50日)/REG 89点(約120h・約30日)
- 現在FAS業界に勤務。一次体験と実データに基づき教材を開発し、累計100部超が受験生に活用されています。
KAIRO AI 開発者|kairo-ai.jp
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