KAIRO
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8Chapter 8

資産の基礎価額(取得・贈与・相続・非課税交換)

Part 3: 資産取引の連邦税務Blueprint Area III 対応・配点 12-22%読了目安 約181分

章構成をAICPA公式の出題範囲(Blueprint)に沿った新カリキュラムに刷新しました。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 8: 贈与された土地の値段

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(税務・法務部門)/🏢 皆川さん(クライアント)

売却の相談

税務・法務部門に配属されて、まだ2週間目だった。今日は先輩と一緒に、皆川さんという個人のお客さんの相談に同席している。机の上には、空き地の売買契約書と、贈与税申告のコピーが広げてあった。窓の外では、隣のビルの工事の音がずっと響いていた。

🏢「この土地は、5年前に父から譲り受けたものです。もらった時の評価額が150,000ドルで、贈与税の申告もそのときに済ませています」

カイロウは贈与税申告のコピーを手に取り、日付と評価額の欄をひとつずつ確かめた。数字はきちんと一致している。

🦉「申告のほうも、控えがちゃんと残っているんですね」

🏢「はい、そこは当時の税理士さんにお願いしました。今度、開発業者に420,000ドルで売ることになりまして。差額の270,000ドルに税金がかかる、という理解で合っていますか」

カイロウは手元のメモに数字を書き写しながら、うなずいた。もらった時の値段と、売る時の値段。その差がそのまま利益になる。ごく自然な考え方に思えた。

🦉「はい、270,000ドルの利益として計算するのが基本になります」

皆川さんが部屋を出たあと、カイロウは自分のメモを先輩に見せた。先輩はページをめくる手を止めて、しばらく数字を眺めていた。

引き継がれる値段

💼「ちょっと待って。この150,000ドルは、何の数字だ」

🦉「皆川さんが土地をもらった日の評価額です。もらった日の値段が、皆川さんにとっての『買った値段』になりますよね」

💼「贈与された資産では、そうはならない。もらった人の基礎価額は、あげた人が最初に払った金額を、そのまま引き継ぐんだ」

先輩の説明はこうだった。皆川さんの父は、何十年も前にこの土地を40,000ドルで買っていた。贈与を受けた日の評価額がいくらでも、基準になるのはその40,000ドルだという。

🦉「なぜ、もらった日の評価額を使わないんですか。皆川さんにとっては、そこが本当の出発点のはずです」

💼「そうしてしまうと、お父さんが持っていた間の値上がり分が、まるごとすり抜けてしまう。だから基礎価額は、あげた人の分から途切れさせない」

🦉「では、利益は420,000から40,000を引いて、380,000ドルになるということですか」

💼「そのとおり。もらった日の値段は、ここでは関係ない」

🦉「梟は目を丸くするのが得意なので、今まさに得意技が出ています」

自分の見積もりが10万ドル以上ずれていたことに、カイロウは素直に驚いていた。契約書の数字は同じなのに、基準にする値段が変わるだけで、答えがまったく違ってくる。

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea III --- 資産取引の連邦税務(Federal Taxation of Property Transactions)
Blueprint参照Area III-A --- 資産の取得原価(税務基礎価額)(Basis of assets)
エリア出題比率12%~22%(Area III全体)

⏱ 読了目安: 約120分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。

本章が扱う「資産の基礎価額(basis)」の決定は、後続の原価回収(減価償却・償却)と処分損益の計算すべての出発点になる。ここを取り違えると、この先の計算が連鎖して狂う。


前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
総所得への算入原則(米国内国歳入法(IRC: Internal Revenue Code)§61)資産処分の利得は総所得に算入される。基礎価額は「譲渡益=譲渡対価-基礎価額」の一方の柱になる。
公正市場価額(FMV: Fair Market Value)の考え方独立当事者間で成立する取引価格という前提。贈与・相続・非課税交換すべての基準点になる。
保有期間の長期・短期区分通常は取得日から1年超保有で長期扱い。相続財産の自動長期扱いという特則は、この通常ルールを知っているほど際立つ。税率差は後の章で扱う。
資本的支出と修繕費の違い資産化される支出は調整後基礎価額に加算される。「調整後」の中身を知っておくと本章の後がスムーズになる。詳細は原価回収の章で扱う。

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【資産取引の連邦税務(Area III)の3ステップ】

資産の取得              保有中の費用化                資産の処分
基礎価額の決定    →    原価回収(減価償却・償却)  →   処分損益の計算
   ← 今ここ               (次のBlueprintグループ)      (さらにその先)

車の走行距離計を思い浮かべてほしい。出発点の数字を書き間違えれば、その日の走行距離だけでなく翌日以降の全記録がずれ続ける。基礎価額(basis)はこの出発点にあたる。譲渡益・譲渡損は「譲渡対価-基礎価額」で決まり、保有中の減価償却費も基礎価額を起点に計算されるため、ここで1つ計算を誤ると以後の税務計算が連鎖して狂う。

厄介なのは、基礎価額が「いくら払ったか」だけでは決まらない点だ。購入資産は支払額がそのまま基礎価額になるが、贈与・相続・交換・出資で取得した資産には、それぞれ別の決定ルールが用意されている。本章はこの取得経緯ごとのルールを、Blueprintのグループ区分に沿って確定させていく。

【取得方法別・基礎価額の決定ルール】

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§ Summary Notes — REG

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