章構成をAICPA公式の出題範囲(Blueprint)に沿った新カリキュラムに刷新しました。
ストーリー(冒頭プレビュー)
🦉 Episode 7: 会社を作れば、もう安心なんですか
登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(税務・法務部門)/🏢 小林さん(クライアントの経営者)
もう何年も前に法人にしたので大丈夫です
カイロウは先輩と一緒に、自動車整備工場を営む小林さんのところへ来ている。ピットにはリフトで持ち上げられた軽トラックが一台あり、油の匂いが応接スペースまで漂っていた。棚には、工具のカタログと一緒に、付き合いのある会社とのやりとりのファイルが並んでいた。壁のホワイトボードには、来週の車検の予定がびっしり書き込まれている。
小林さんは以前つながりのあった「三条部品」という会社から、部品代の支払いをめぐって裁判を起こされたと話した。部品を納品したのに代金の一部が未払いだと、三条部品側は主張しているという。請求額は340万円ほどで、それなりに大きい。それでも表情にはどこか余裕があった。
🏢「うちはもう何年も前に法人にしていますから、会社が負けても、私個人の家や貯金までは持っていかれませんよね」
🦉「340万円というと、会社の口座だけで払える金額なんですか」
🏢「今すぐは厳しいですけど、そこは会社の話ですから。個人の方には及ばないはずです」
カイロウは、まさにそれが法人にする一番の狙いだと思っていた。個人の財産と会社の財産は別物になる、という説明を研修でも聞いていた。
🦉「そうですね、法人にした時点で、小林さん個人の財産とは切り離されているはずです」
小林さんは安心したように、コーヒーを一口飲んだ。
🏢「実は先月も、会社の口座から家族旅行の分を払ったんです。25万円くらいでしたけど、どうせ自分の会社ですし、そのくらいは普通ですよね」
先輩の一言
先輩の表情が少し変わった。
💼「小林さん、その話は聞き流せません。会社のお金と個人のお金を、普段からそんなふうに扱っていますか」
🏢「まあ、細かく分けたことはないですね。結局は自分のお金ですし」
小林さんは軽く肩をすくめ、たいしたことではないという顔をした。
💼「そこが問題です。法人にしただけでは、財産が自動的に守られ続けるわけではありません。会社を、本当に会社として扱っているかどうかも見られます」
先輩は続けた。
💼「口座を分けず、記録も残さず、自分の財布のように使っていると、会社ではなく個人の延長だと裁判で判断されることがあります。そうなれば、法人の壁は意味を失います」
カイロウは、法人にすること自体がゴールだと思っていた自分に気づいた。
🦉「梟は巣をきれいに保つのが得意なのに、会社と個人の線引きまでは気にしていませんでした」
小林さんの余裕のある表情が、少しずつ曇っていった。
本編で確認したいこと
インプット(冒頭プレビュー)
この章の試験での位置づけ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所属エリア | Area II ビジネス法(Business Law) |
| Blueprintグループ | Area II-E 事業体の構造(Business structure) |
| エリア出題比率 | 10〜20%(Area II全体) |
⏱ 読了目安: 約96分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。
配点自体は大きくないが、事実パターンから事業体を数秒で見極める力はMC・TBS双方の得点に直結する、優先度の高い論点群である。
前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと
| 前提知識 | なぜ必要か |
|---|---|
| 契約法の基本(申込・承諾・約因) | 発起人の設立前契約の効力を判断する土台になる |
| 「法人格(separate legal entity)」という発想 | 会社が出資者本人と別の法主体として扱われる、という本章全体の前提になる |
| 代理法(agency)の基本構造 | 役員・取締役が会社を代理する場面の理解を助ける(詳細は別章で扱う) |
| 資本と負債の違い | 法人格否認の論点である「過小資本」を理解する土台になる |
1. なぜこの論点が必要か(Why)
【Area II ビジネス法の全体マップ】
代理法 → 契約法 → 債務者・債権者関係 → 事業に対する政府規制 → 事業体の構造
(II-A) (II-B) (II-C) (II-D) (II-E)
^^^^^^
← 今ここ →
前章までの代理法・契約法は「事業の中身を動かすルール」だった。本章が扱うのはその一歩手前、事業を収める「器」の選び方である。
事業を始める人は、何かあったとき誰が責任を負うか、重要事項に誰が票を持つか、利益をどう分けるかを規律する土台のルールブックを選んでいる。会社・一般パートナーシップ・LLC(有限責任会社)は異なる州法をデフォルトとして背負い、設立者は定款や運営契約で一部を書き換えられるが範囲には限界がある。この「どこまでがデフォルトで、どこからが自由か」の線引きが本章の出題の核である。
REGでは「株主が配当を求めて提訴した」といった短い事実パターンから、事業体の種類だけを手がかりに法的帰結を判定させる形式が多い。見極めを誤れば、判断は連鎖的に崩れる。本章を通じて繰り返し出てくる問いは2つだけである。「出資者は無限責任か、有限責任か」「このルールはデフォルトか、それとも変更できない強行規定か」。この2つの軸さえ押さえておけば、初見の事実パターンでも大きく外さない。
2. 事業体選択の全体像 --- 「土台のルールブック」を選ぶ
2-1. 主要な3類型
続きとアウトプット演習・整理ノートはREG教材(購入者限定)でご覧いただけます。
§ Summary Notes — REG
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