リスクマネジメント
Risk Management
ストーリー(冒頭プレビュー)
🦉 Episode 5: リスクの地図 --- リスクマネジメント
入社5日目の朝。カイロウがデスクに着くと、鷹山さんが世界地図を画面に表示していた。地図上にはピンが何本も刺さっている。
💼「昨日、COSOの5つの構成要素のうちリスク評価を学んだな。今日はそのリスク評価をもっと広い視点で捉える。COSO-ERM(Enterprise Risk Management:全社的リスクマネジメント)だ」
🦉「ERMって、COSOの内部統制とは別のフレームワークですか?」
💼「関連するが別物だ。COSO-ICは内部統制のフレームワーク。COSO-ERMは全社的なリスク管理のフレームワーク。COSO-ICが『統制を設計して運用する』話なら、COSO-ERMは『そもそもどのリスクにどう向き合うか』を経営レベルで考える話だ」
リスクマネジメントの基本 --- 「リスクを0にはできない」
💼「まず基本概念から。リスクとは何だ?」
🦉「何か悪いことが起きる可能性……ですか?」
💼「半分正解。リスクには脅威(Threat)と機会(Opportunity)の両面がある。ERMはマイナスのリスクだけでなく、プラスのリスク——つまりビジネスチャンスも管理対象にする」
カイロウは意外そうな顔をした。リスクと聞くと悪いことだけを想像していたが、新しい市場への参入や技術革新も「不確実性」という意味ではリスクなのだ。
💼「リスクへの対応には4つのオプションがある。回避、軽減、移転、受容」
🦉「全部のリスクに対応するわけではないんですね」
💼「コストとの兼ね合いだ。統制のコストがリスクの損害額を上回るなら、そのリスクは受容した方が合理的。保険はリスクの移転の代表例だ」
COSO-ERMの構成 --- 「5つの構成要素と20の原則」
午前の後半、先輩はCOSO-ERMの構造を説明した。
💼「COSO-ERMは2017年に改訂された最新版がベースだ。5つの構成要素と20の原則で構成されている」
先輩はホワイトボードに流れを描いた。
💼「①ガバナンスと文化、②戦略と事業目標の設定、③パフォーマンス(実行)、④レビューと改訂、⑤情報・伝達・報告」
🦉「あれ? COSO-ICの5つの構成要素とは違いますね」
💼「いい着眼点だ。COSO-ICは統制の構成要素。COSO-ERMはリスク管理の構成要素。名前は似ているが、目的と範囲が異なる」
ガバナンスと文化 --- 「リスク管理は経営者が主導する」
インプット(冒頭プレビュー)
この章の試験での位置づけ
CPA Exam Blueprint(試験設計図) とは、AICPA(米国公認会計士協会)が公式に公表している「試験で何が、どのくらいの比率で、どのレベルで問われるか」を定めた文書です。 全ての出題はこのBlueprintに基づいて作成されます。つまり Blueprintを知ることは、試験の設計者の意図を知ること です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所属エリア | Area I -- Information Systems and Data Management / Area II -- Security, Confidentiality, and Privacy |
| エリア出題比率 | 35--45%(Area I)/ 35--45%(Area II) |
| 求められるスキルレベル | Application(適用) --- リスク対応戦略の判断、SLE/ALEの計算、コストベネフィット分析の適用が問われる |
このChapterのポイント: Chapter 4で学んだCOSO内部統制の「リスク評価」構成要素を、全社的・定量的に深掘りするのがこのChapter。リスク対応の4戦略の見分け、固有リスクと残余リスクの計算、SLE = 資産価値 × EF、ALE = SLE × ARO の計算、コストベネフィット分析(ALE差額 vs 統制コスト) が最頻出。TBSでは数値を与えられてALEを計算させる問題が定番。
前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと
| 前提知識 | なぜ必要か |
|---|---|
| Chapter 4のCOSO内部統制フレームワーク | COSO-ERMはCOSO ICの「姉妹フレームワーク」。ICの5構成要素(特にリスク評価)を理解していないと、ERMとの役割分担が分からない |
| 基本的な確率・期待値の計算感覚 | ALE = SLE × ARO は「期待値」の計算そのもの。「1年に0.1回起きる」=10年に1回、という確率の読み替えができるとスムーズ |
| CIAトライアド(機密性・完全性・可用性)の存在 | IT資産のリスクは最終的にCIAのどれかを脅かす形で顕在化する。詳細はChapter 9で学ぶが、前提として名前だけ知っておくと理解が速い |
1. なぜこの論点が必要か(Why)
ISC科目の全体像 --- 今どこにいるか
【ISC科目の全体構造】
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