KAIRO
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13Chapter 13

法人税等の会計処理

Part 3: 特定の取引Blueprint Area III 対応・配点 25-35%読了目安 約136分

章構成をAICPA公式の出題範囲(Blueprint)に沿った新カリキュラムに刷新しました。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 13: 一生消えない差と、いつか消える差

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(会計アドバイザリー部門)/🏢 藤井部長(クライアントの経理部長)

利益と課税所得が一致しない

藤井部長の会社は、今期、労働基準監督署から時間外労働の管理不備を指摘され、是正勧告に伴って50万円の罰金を支払った。会計上はすでに費用として計上済みで、当期純利益にも反映されている。カイロウと先輩は、年次決算の締めくくりでこの会社を訪れていた。

カイロウは決算の資料と税務申告書を見比べていて、手が止まった。会計上の当期純利益と、申告書に書かれた課税所得の金額が一致しない。差額の内訳を見ると、罰金の50万円が課税所得の計算で足し戻されている。差異調整の欄には、他にもいくつか数字が並んでいた。

🦉「藤井部長、この50万円、会計上はもう費用にしていますよね。なのに申告書では利益に足し戻されています。なんでですか」

🏢「罰金は、税務上は経費として認めてもらえないんです。だから利益の計算とは別に、申告書の上で足し戻す決まりになっています」

🦉「利益の計算では引いていいのに、税金の計算では引いてもらえない、ということですね。少し不思議な感じがします」

🏢「他にも、交際費の一部なんかも同じように足し戻されていたと思います。細かい理由まではちょっと」

カイロウは差異調整の欄を指でたどりながら、他の数字にも同じことが言えるのか気になった。並んでいる数字は全部で5つ、金額もばらばらだった。

カイロウは資料をもう少しめくって、別の差にも気づいた。主力設備の減価償却費も、会計上と税務上で金額が違っている。今期は会計上の償却費の方が、税務上より80万円多い。

🦉「この80万円の差も、罰金と同じで、一生このままなんですか」

🏢「そこまで詳しくは分からないんですが、確かに毎年、多少の差が出ているのは見た覚えがあります」

🦉「その設備というのは、去年導入した製造ラインのことですか」

🏢「そうです。工場の主力ラインなので、金額も大きいんです」

先輩の一言で変わる見方

💼「その2つの差は、性質が違う。罰金の差は、今期も将来も、税金の計算からは戻ってこない差だ」

🦉「減価償却費の方は、違うんですか」

💼「そっちは今期、会計上の償却費がたまたま多いだけだ。いずれ税務上の償却費の方が多くなる年が来て、通算すれば同じ金額になる。時間が経てば消える差と、一生消えない差、分けて見る必要がある」

カイロウの中で、2つの差の見え方が変わった。同じ「利益と課税所得のずれ」でも、中身はまったく別物だった。フクロウは物忘れをしない生き物だと思われがちだが、この2つの差はさすがに区別して覚えておく必要がありそうだった。

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea III --- 特定の取引(Select Transactions)
Blueprint参照Area III-D-1(法人税等)
エリア出題比率25%〜35%(中央値30%)

⏱ 読了目安: 約97分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。

法人税等の会計処理は、差異の分類から繰延税金の測定、開示までが一本の計算の流れとしてつながっている論点である。途中の一箇所で符号や税率を取り違えると最終値がすべてずれるため、流れ全体を一つのストーリーとして押さえておくことが得点への近道になる。本章の例題は、数字の出どころを1つずつたどれるように番号付きの手順で示してあるので、手を動かしながら読み進めてほしい。


前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
発生主義会計の基本(収益・費用の認識タイミング)会計上の利益と税務上の課税所得がなぜずれるのか、その出発点を理解するため
資産・負債の帳簿価額(carrying amount)の考え方一時差異は帳簿価額と税務上の基準額との差から生まれるため
損益計算書の大まかな区分(継続事業/非継続事業)法人税等がどの区分に配分されるかを理解する前提になるため
その他の包括利益(OCI)に含まれる項目の概要(詳細は資本を扱う章で学ぶ)期間内税金配分でOCIへの税金配分を扱うため

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【損益計算書における法人税等の位置づけ】

継続事業からの税引前利益
  │
  ▼
法人税等(継続事業)  ← 今ここ
  │
  ▼
継続事業からの当期純利益 + 非継続事業の税引後損益
  │
  ▼
当期純利益 + その他の包括利益(税引後)
  │
  ▼
包括利益

会計上のルールと税務上のルールは、同じ1年間の企業活動を別々の物差しで測っている。決算書は投資家に実態を伝えるための物差し(会計基準)、申告書は税金を徴収するための物差し(税法)であり、いつ・何を収益や費用として認識するかが物差しごとに違うため、会計上の利益と税務上の課税所得は基本的に一致しない。

このズレを当期に払う税金(当期税金費用)と将来払う・戻ってくる税金(繰延税金)に分けて処理しなければ、決算書の「法人税等」という科目が何を意味するのか分からなくなる。本章では、このズレをどう会計処理し、どう開示するかを一気通貫で学ぶ。

本章で扱う9つの論点は、どれも独立した暗記項目ではなく、「差異を分類する → 税金を計算する → 将来の不確実性を評価する → 区分に配分する → 開示する」という1本の流れの各ステップにあたる。MCでは各ステップの定義や判定基準を単独で問う出題が多く、TBSでは複数のステップをまたいで一連の計算を完成させる出題が多い。どちらの形式でも、前のステップの結果が後のステップの前提になっている点を意識すると、計算の見通しが立てやすくなる。


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§ Summary Notes — FAR

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