KAIRO
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15Chapter 15

ACFRとファンド会計・政府全体財務諸表

Part 3: 州・地方政府会計と報告Blueprint Area III 対応・配点 10-20%読了目安 約218分

章構成をAICPA公式の出題範囲(Blueprint)に沿った新カリキュラムに刷新しました。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 15: まとめられない市役所のお金

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(経営分析チーム)/🏢 木下課長(市の財政課長)

財政課での打ち合わせ

カイロウは先輩と一緒に、ある市の財政課を訪れていた。机には分厚い報告書が何冊も積まれている。壁のキャビネットにも、年度ごとにまとめられたファイルがぎっしり並んでいた。今回は、市の財務資料の作り方を確認する仕事だった。

木下課長が見せてくれた資料には、いくつもの表が並んでいた。「一般会計」「道路整備の会計」「水道事業の会計」と、別々に集計されている。

🦉「この水道事業の会計、けっこう大きな金額ですね」

🏢「ええ、水道事業だけで年間8億円くらい動いています。道路整備の会計は、今年は3億円ほどですね」

🦉「同じ市のお金なのに、どうしてこんなに表が分かれているんですか。1つにまとめたほうが見やすいと思うんですが」

🏢「実は、まとめてはいけないんです。水道料金として集めたお金は、水道事業以外には使えない決まりになっていて」

🦉「全部でいくつくらい、財布が分かれているんですか」

🏢「大きなものだけでも十以上あります。道路、公園、学校施設、水道、下水道、それぞれ別です」

🦉「学校施設の会計は、何に使うお金なんですか」

🏢「校舎の修繕や、備品の購入ですね。こちらも他の会計にお金を回すことはできません」

🦉「道路の予算が足りなくても、水道のお金を回せないということですか」

🏢「そうなんです。それぞれ、使い道が最初から決まっているので」

🦉「逆に、道路のお金が余ったときは、他に回せるんですか」

🏢「それも原則できません。余った分は、翌年度以降の道路関係の支出に回すだけです」

先輩の一言

財政課を出たあと、カイロウは先輩に聞いた。

🦉「会社なら、儲かったお金をどこに使うか自由に選べますよね。市役所は違うんですね」

💼「そこが会社との一番の違いだ。市や町のお金には、法律や条例で使い道が決められているものが多い」

🦉「だから、財布を最初から分けて管理しているんですね」

💼「そう。1つの財布にひとまとめにすると、どのお金が何に使われたのか見えなくなってしまう。だから目的ごとに財布を分けて、それぞれの中で収支を管理する」

🦉「水道事業の8億円と、道路整備の3億円も、それぞれの財布の中でしか動かないということですね」

💼「そういうことだ。市民から見ても、水道料金がきちんと水道のために使われているか、財布ごとに確認できるようになる」

🦉「会社の財務諸表とは、そもそもの考え方が違うんですね」

💼「かなり違う。これまで学んできた会社の会計の考え方が、そのまま通用しない部分も多い」

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea III: 州・地方政府会計と報告(State and Local Government Accounting and Reporting)
Blueprint参照Area III-A(年次包括財務報告書の様式と内容)、Area III-B(政府全体財務諸表の導出と調整要件)
エリア出題比率10%〜20%

⏱ 読了目安: 約127分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。

Area IIIは出題比率の幅が最も広く、企業会計とは別の会計基準体系(後述)を扱うため得点差がつきやすい。本章はその入り口として、ACFR(年次包括財務報告書)とファンド会計の骨組み、政府全体財務諸表の作り方までを押さえる。

前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
発生主義における収益・費用の認識タイミングの基本政府全体財務諸表は発生主義で作成されるため、認識タイミングの基本ルールを先に押さえておくと理解が速い
資産・負債・純資産(資本)の基本的な会計等式政府会計では「純資産(net position)」という独自の呼称を使うが、根底にある構造は同じ等式である
減価償却の基本的な考え方政府全体財務諸表では道路・庁舎などの資本資産を減価償却するため、計算の土台として必要になる
財務諸表が複数の利用者(住民・議会・債権者など)に向けて作られるという視点政府会計特有の「説明責任(accountability)」という報告目的を理解する土台になる

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【BARの出題エリア構成】

Area I  ビジネス分析                       (40-50%)
Area II テクニカル会計と報告               (35-45%)
Area III 州・地方政府会計と報告            (10-20%)← 今ここ
   └ 本章(ACFRとファンド会計・政府全体財務諸表)は
     Area IIIの出題範囲全体への入り口にあたる

Area IとArea IIで学ぶ会計基準は、企業会計を規律する会計基準体系(Accounting Standards Codification、ASC)にさかのぼる。ところがArea IIIに入ると、根拠となる基準そのものが切り替わる。州・地方政府の会計を規律するのは財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board、FASB)ではなく、政府会計基準審議会(Governmental Accounting Standards Board、以下GASB)が発行する一連の基準書である。FARやAUDで積み上げた会計処理の感覚を無意識に持ち込むと、政府会計では足をすくわれる。

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§ Summary Notes — BAR

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