リース会計(貸手会計とセール&リースバック)
章構成をAICPA公式の出題範囲(Blueprint)に沿った新カリキュラムに刷新しました。
ストーリー(冒頭プレビュー)
🦉 Episode 13: 売ったのに、まだそこにある倉庫
登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(経営分析チーム)/🏢 中村部長(クライアントの経理部長)
倉庫の現場で
カイロウは先輩と一緒に、物流会社の倉庫を訪れていた。天井の高い建物に、棚が何列も並んでいる。フォークリフトが行き来し、段ボールが積み上げられていた。倉庫の外の看板も、先月までとまったく同じだった。事務所に案内されると、社員たちがいつも通りパソコンに向かっていた。
事務所の奥にある小さな会議室で、中村部長が資料を見せながら言った。
🏢「実はこの建物、先月、不動産会社に売却しました」
🦉「いくらくらいで売ったんですか」
🏢「土地と建物をあわせて、だいたい3億円ほどです」
カイロウは棚や壁を見回した。何も変わっていないように見える。
🦉「え、売ったんですか。でも今日も普通に働いていますよね」
🏢「売った後、そのまま借りて使っているんです。賃料を払って」
🦉「建物を売って、すぐに借り直したということですか」
🏢「ええ。おかげでまとまった現金が入り、決算では売却益も計上できました」
🦉「そもそも、なんでそんな面倒なことをするんですか」
🏢「手元の現金を増やしたくて。建物を持ったままだと、なかなかまとまったお金にはならないので」
🦉「たしかに、建物は簡単には切り売りできませんもんね」
🏢「賃貸なら、毎月の家賃だけで済みますし、その分のお金を別の事業に回せます」
🦉「なるほど、資金繰りのための工夫なんですね」
🏢「はい。倉庫だけでなく、本社ビルで同じような方法を使う会社も少なくありません」
カイロウは、なるほどと思いながらも、どこか腑に落ちない顔をしていた。手元のメモには「売った、でも変わっていない」とだけ書き込んでいた。
先輩の一言
倉庫を出たあと、カイロウは先輩に聞いた。
🦉「売って借り直すだけで、そんなにうまくいくものなんですか」
💼「実は、これがいつも売却として扱えるとは限らない」
🦉「契約書に売買契約と書いてあっても、ですか」
💼「そう。中村部長の会社が、あとで建物を買い戻せる権利を残しているなら、話は変わってくる」
🦉「買い戻せるなら、結局手放していないのと同じ、ということですか」
💼「その通り。実質的に手放していなければ、会計上は売却として扱えない。現金は入ってきても、ただのお金の借り入れとして扱うこともある」
🦉「見た目は同じ契約書なのに、扱いが変わるんですね」
💼「書類の形式より、実際に何を手放したかで判断する。そこがこの分野の考え方の基本だ」
インプット(冒頭プレビュー)
この章の試験での位置づけ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所属エリア | Area II ― テクニカル会計と報告(Technical Accounting and Reporting) |
| Blueprint参照 | Area II-I(Leases) |
| エリア出題比率 | 35〜45%(Area II全体) |
⏱ 読了目安: 約55分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。
Area IIはBAR全体の中で最も出題比率が高いエリアである。本章はそのうち貸手側の会計処理とセール・アンド・リースバックに絞って扱う(借手側の会計処理はFARの範囲)。
前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと
| 前提知識 | なぜ必要か |
|---|---|
| 借手のリース分類5基準(所有権移転・割安購入オプション・リース期間・現在価値・特殊仕様資産) | 貸手もこの5基準を最初のステップとしてそのまま適用するため |
| 現在価値の考え方(将来のキャッシュフローを割り引いて今の価値に直す) | リースに対する正味投資の測定に使う |
| 収益認識における「支配の移転」という考え方(対価を受け取る権利、所有権の移転、物理的な占有の移転などから総合判断する) | セール・アンド・リースバックの「売却」判定にこの考え方を借用する。支配移転の詳細な判定モデル自体は、収益認識を扱う章を参照 |
1. なぜこの論点が必要か(Why)
【リース取引の全体像】
1本のリース契約
│
┌─────────┴─────────┐
│ │
借手側 貸手側
(Lessee) (Lessor)
│ │
FARで学習済み ★ここ(BAR ch13)
・使用権資産 ├ 分類判定(5基準+貸手の追加要件)
・リース負債 ├ セールス・タイプ・リース
├ 直接金融リース
└ オペレーティング・リース
+ セール・アンド・リースバック
(売主兼借手 ⇄ 買主兼貸手が
同じ取引の中に同居する複合取引)
本章の基礎は、財務会計基準審議会(Financial Accounting Standards Board、以下FASB)が定める会計基準体系書(Accounting Standards Codification、以下ASC)のASC842である。分類基準はASC842-10、貸手会計はASC842-30、セール・アンド・リースバックはASC842-40に規定される。
続きとアウトプット演習・整理ノートはBAR教材(購入者限定)でご覧いただけます。
§ Summary Notes — BAR
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