KAIRO
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7Chapter 7

資本予算の意思決定手法(NPV・IRR・WACC)

Part 1: ビジネス分析Blueprint Area I 対応・配点 40-50%読了目安 約141分

章構成をAICPA公式の出題範囲(Blueprint)に沿った新カリキュラムに刷新しました。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 7: 5年後の250万円と、今日の250万円は同じではない

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(経営分析・財務計画の支援チーム)/🏢 藤堂社長(クライアント運送会社の社長)

新しいトラック、買うべきか

カイロウは先輩と一緒に、運送会社の事務所を訪れていた。藤堂社長は新しいトラックの導入を検討していて、机には見積書が広げられている。窓の外の車庫には、あちこち塗装のはげた今の営業車が並んで停まっていた。

🏢「トラック1台1000万円です。この車で、年間250万円ずつ、5年間で1250万円の収入が見込めます。1000万円出して1250万円戻ってくるなら、250万円の得ですから、買おうと思っています」

カイロウは電卓を借りて、1250万円から1000万円を引いた。たしかに250万円の差がある。

🦉「差し引き250万円プラスなら、買った方が得ということですよね」

藤堂社長も、その計算で十分だと思っていたようで、大きくうなずいた。長年その考え方で車両の入れ替えを判断してきたという。

🏢「新しい車なら、燃費も良くなりますし、故障で止まる心配も減ります。毎年250万円ずつ、5年間は固く見込めると思います」

先輩は見積書の年ごとの内訳を指さした。

💼「その250万円は、1年目から5年目まで、同じ時期に入ってくるわけじゃない。5年後に入る250万円と、今日手元にある250万円は、同じ重みでは比べられない」

時期が違うお金は、そのまま比べられない

カイロウは首をかしげた。同じ250万円という金額なのに、なぜ重みが違うのか、ぴんとこなかった。

🦉「金額が同じなら、いつ受け取っても同じじゃないんですか」

💼「今日の250万円は、今日から運用に回せる。でも5年後の250万円は、その5年間は手元にない。時間が生む差がある」

藤堂社長は、見積書の5年目の欄を指でなぞりながら、独り言のようにつぶやいた。

🏢「言われてみれば、5年後の250万円をあてにして、今、別のことにお金を使う余裕がなくなるということですね」

🦉「なるほど、同じ金額でも、いつ使えるかで意味が違うんですね」

藤堂社長は見積書を見直しながら、少し考え込んだ。長年の判断のやり方が、根本から揺らいだような顔だった。

🏢「単純に足し算と引き算で見ていました。時期のことは考えていませんでした」

カイロウは、金額の大きさだけでなく、いつ手に入るかも意味を持つのだと知った。同じ250万円でも、届く時期によって価値が違って見える。フクロウなら夜目が利くはずなのに、この違いはまったく見えていなかった。窓の外の古い営業車も、あと何年走れるのか、急に気になり始めた。

次に知りたいこと

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea I --- ビジネス分析(Business Analysis)
Blueprint参照Area I-E-1〜I-E-5(投資代替案の比較と資本予算)
エリア出題比率40〜50%(Area I全体)

⏱ 読了目安: 約93分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。

Area Iは配点比率が最も高い領域であり、その中でも投資代替案の比較と資本予算(Area I-E)は、財務諸表分析から管理会計までを学んだうえで到達する応用的な位置づけにある。数値を正しく計算できるかだけでなく、「どの手法をいつ使うべきか」を判断できるかが問われる。MC・TBSともに、公式を暗記しているだけでなく、与えられた前提条件にその公式を正しく当てはめられるかという適用力が試される出題になりやすいとされる。


前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
キャッシュフロー計算書の基本構造(営業活動・投資活動によるキャッシュフローの区別)資本予算では会計上の利益ではなく実際の現金の出入りを扱うため、両者の違いを理解している必要がある
法人税の基本的な仕組み(税引前利益と税引後利益の違い)後述する減価償却の節税効果を理解する前提として、利益に税率を掛けると納税額になるという基本構造の理解が要る
パーセンテージと指数計算の基本操作(複利計算を含む)割引計算はすべて(1+割引率)のべき乗を使うため、電卓での指数計算に慣れておくとスムーズ
貸借対照表における負債と株主資本の区別後述する加重平均資本コストは、負債による資金調達と株主資本による資金調達のコストを、それぞれの比率で加重平均するため、両者の違いの理解が前提となる

これら4つはいずれも、本章の個別の論点というより、本章全体を読み進めるための「共通言語」にあたる。例えば複利計算の操作に不安が残ったまま3節のNPV計算に進むと、割引係数そのものの意味ではなく電卓の操作でつまずいてしまう。先に共通言語を揃えておくことで、本章の時間を「どの手法をいつ使うべきか」という判断の理解に使えるようになる。


1. なぜこの論点が必要か(Why)

【Area I: ビジネス分析 の全体像】

I-A 財務諸表分析 → I-B 将来情報の分析 → I-C 業績指標と分析手法 → I-D 原価計算・管理会計 → I-E 投資代替案の比較と資本予算
 (過去を読む)         (未来を見積もる)         (良し悪しを測る)         (社内のコストを管理する)         ← 今ここ(社外への投資を判断する)

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§ Summary Notes — BAR

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