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2026-08-30更新: 2026-08-30

3表連動モデル(財務三表モデル)とは?作り方と作成手順を解説

3表モデル財務モデリングAFMExcelキャリア資格

財務モデリングの土台になるのが、損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュフロー計算書(CF)を連動させた「3表モデル」です。この記事では、3表がどう連動するかの仕組みと、実際にモデルを作る際の手順、初心者がつまずきやすいポイントを整理します。


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3表連動モデルとは何か

3表連動モデルとは、損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書という3つの財務諸表を、1つのExcelモデルの中で数式でつなげ、前提条件を変えると3表すべてが整合して動くようにしたモデルのことです。

簿記や会計の学習では、この3表は「過去の実績」として個別に完成した状態で扱われます。一方、財務モデリングでは、売上成長率や投資額といった将来の前提条件を入力すると、PL・BS・CFがそれぞれ自動で更新される「動くモデル」を作ります。この「動く」状態を作れるかどうかが、会計の知識と財務モデリングのスキルの分かれ目です。

なぜ3表を連動させる必要があるのか

PL単体、あるいはBS単体を予測するだけでは、モデルとして不十分です。例えば、売上が伸びれば売掛金(BS)が増え、それが運転資本の増加としてキャッシュフロー(CF)を圧迫します。設備投資(CF)を行えば固定資産(BS)が増え、その減価償却費が翌期以降のPLに影響します。

このように、3表は互いに影響し合っています。1つの表だけを見ていると、「利益は出ているのに手元の現金が減っている」といった状況を見落としてしまいます。3表を連動させることで、こうした表面上は見えにくいお金の動きを正確に捉えられます。

3表モデルを作る基本の手順

3表モデルは、以下の順序で組み立てるのが基本です。

1. 前提条件(仮定)を設定する

売上成長率、売上原価率、販管費の内訳、設備投資額、減価償却の方法、運転資本の回転日数(売掛金・棚卸資産・買掛金)など、モデルの土台となる前提条件を、シートの目立つ場所にまとめて配置します。前提条件を1箇所に集約しておくことで、後から仮定を変更した際に、モデル全体へ正しく反映されているかを検証しやすくなります。

2. 損益計算書(PL)を組み立てる

前提条件をもとに、売上高から営業利益、税引前利益、当期純利益までを計算します。この段階ではまだ、支払利息(BS上の借入金残高に依存)を確定できないケースがあるため、後述の循環参照が発生しやすいポイントです。

3. 貸借対照表(BS)を組み立てる

PLの当期純利益は、BSの利益剰余金に積み上がります。売上・費用の予測から、売掛金・棚卸資産・買掛金といった運転資本項目を算出し、設備投資額から固定資産の残高を更新します。

4. キャッシュフロー計算書(CF)を組み立てる

PLの当期純利益を起点に、減価償却費を足し戻し、運転資本の増減(BSの変化額)を反映し、投資活動・財務活動によるキャッシュフローを加減算して、期末の現金残高を算出します。

5. 現金残高とBSの現金を一致させる

CFで算出した期末現金残高が、BSの現金残高と一致していることを確認します。ここが一致しなければ、モデルのどこかに数式のミスがあるということです。3表モデルが正しく組めているかどうかは、BSの貸借が常に一致し続けるかで検証できます。

循環参照(サーキュラーリファレンス)への対応

3表モデルでは、しばしば「循環参照」と呼ばれる状態が発生します。代表的な例が、支払利息と現金残高の関係です。

  • 支払利息は、借入金残高に依存する
  • 借入金残高は、キャッシュフロー(資金繰り)に依存する
  • キャッシュフローは、当期純利益に依存する
  • 当期純利益は、支払利息(PL上の費用)に依存する

このように、計算がぐるぐると円環を描いてしまう状態が循環参照です。Excelでは、この状態のままだと計算エラーになることがあります。対応方法としては、以下のようなものがあります。

  • 反復計算を有効にする: Excelの設定で反復計算を許可し、循環参照を許容したまま収束させる
  • スイッチ(オン/オフ切り替え)を組み込む: 循環参照の原因になる箇所に0/1で切り替えられるスイッチを設け、エラー発生時に一時的に計算を切り離せるようにする
  • 期首残高を参照する: 支払利息の計算を、当期末ではなく前期末の借入金残高ベースにすることで、循環そのものを回避する

実務では、モデルの安定性を優先して、期首残高ベースで簡略化するか、明示的なスイッチを組み込んでおく方法がよく使われます。

初心者がつまずきやすいポイント

3表モデルを初めて組む人がつまずきやすいポイントを整理します。

  • 減価償却費の扱い: PLでは費用として計上されますが、CFでは現金支出を伴わないため足し戻す必要があります。この処理を忘れると、キャッシュフローが実態より少なく計算されます
  • 運転資本の増減の符号: 売掛金や棚卸資産が増えると、キャッシュフローはマイナス方向に働きます(現金化されていないため)。逆に買掛金が増えると、キャッシュフローはプラス方向に働きます。この符号を逆にしてしまうミスは非常に多く見られます
  • BSの貸借が一致しない: 数式のどこかにミスがある証拠です。3表モデルでは、貸借の不一致を検知する検算行(チェックサム)を必ず設けておくべきです
  • 前提条件がハードコードされている: 数式の中に直接数値を打ち込んでしまうと、後から前提を変更する際にモデル全体を追い直す必要が出てきます。前提条件は必ず専用のセルにまとめ、他の数式はそのセルを参照する形にします

3表モデルとバリュエーションの関係

3表モデルが完成すると、そこからフリーキャッシュフロー(FCF)を算出し、DCF法によるバリュエーションへとつなげることができます。3表モデルは、単体の成果物であると同時に、企業価値評価の出発点でもあります。

3表モデルをテンプレートなしでゼロから構築する力は、FMI(Financial Modeling Institute)認定のAFM(Advanced Financial Modeler)試験でまさに問われる内容でもあります。試験形式の詳細は以下で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 3表モデルはExcel以外でも作れますか?

理論上はスプレッドシートであれば同様の考え方で作成できますが、実務で最も広く使われているのはExcelです。関数・ショートカット・シート設計の作法は、Excelを前提に発展してきた部分が大きく、実務ではExcelでの構築力が標準的に求められます。

Q. 循環参照は必ず発生しますか?

支払利息を当期末の借入金残高に連動させるモデルでは発生しやすくなりますが、前述のとおり期首残高ベースにするなど設計を工夫すれば回避できます。モデルの目的や精度の要件に応じて、循環参照を許容するか回避するかを選びます。

Q. 3表モデルの練習には何を使えばいいですか?

まずは架空の会社を想定し、シンプルな前提条件(売上成長率・利益率程度)から始めて、少しずつ運転資本や設備投資、借入金といった要素を追加していく進め方がおすすめです。最初から複雑なモデルを目指すと挫折しやすいため、段階的に複雑さを上げていくことが大切です。


まとめ

3表連動モデルは、財務モデリングの土台となる技術です。前提条件を設定し、PL・BS・CFの順に組み立て、現金残高とBSの貸借を検算することで、整合性の取れたモデルを作ることができます。循環参照への対応や、運転資本の符号といった細部の理解が、モデルの信頼性を左右します。

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USCPA全4科目一発合格(9ヶ月・働きながら)× KAIRO開発者

  • 簿記2級からスタートし、留学経験のない純ジャパで働きながら9ヶ月・全4科目に一発合格
  • FAR 88点(約300h)/BAR 90点(約200h・約50日)/AUD 84点(約187h・約50日)/REG 89点(約120h・約30日)
  • 現在FAS業界に勤務。一次体験と実データに基づき教材を開発し、累計100部超が受験生に活用されています。

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