章構成をAICPA公式の出題範囲(Blueprint)に沿った新カリキュラムに刷新しました。
ストーリー(冒頭プレビュー)
🦉 Episode 14: 借りているだけ、では済まなくなった
登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(会計アドバイザリー部門)/🏢 前田さん(クライアントの経理担当)
5年分の約束は、どこに書くのか
前田さんの会社は、新しい店舗で使う冷蔵ショーケースや陳列棚一式を5年契約でリースした。月々15万円のリース料はすでに契約書で決まっていて、金額が変わることはない。カイロウと先輩は、この店舗の開業にあわせた会計処理の確認で訪れていた。
決算の支援に来ていたカイロウは、契約書と帳簿を見比べていて、手を止めた。5年分の支払いがもう約束されているのに、貸借対照表にはリースに関する数字がどこにも出てこない。毎月の支払額に、什器の名前が付いた費用の科目があるだけだった。15万円かける60か月、単純に計算しても900万円になる。
🦉「前田さん、この什器のリース、5年間の支払額はもう決まっていますよね。それでも貸借対照表には何も出てこないんですか」
🏢「リースなので、資産でも負債でもないと思っていました。毎月の支払いは、家賃と同じように費用として処理しています」
前田さんは契約書のファイルをめくり、解約条項のページを開いた。
🦉「この契約、途中で解約したくなったらできるんですか」
🏢「いえ、5年間は中途解約できない契約になっています。什器のリース会社に、そういう条件で見積もりを頼んだので」
🦉「だとしたら、残り5年分の支払いは、もう約束されているのと同じですよね」
前田さんは、そんなふうに考えたことはなかったという顔をした。
🦉「購入せずにリースにしたのは、何か理由があったんですか」
🏢「新規出店が続いているので、初期費用をできるだけ抑えたかったんです。まとめ買いだと、開店資金を圧迫してしまうので」
カイロウは資料を見つめたまま考え込んだ。5年分の支払い義務がすでにあるのに、それを「借りているだけ」で片付けてしまっていいのだろうか。
先輩の一言で変わる見方
💼「今は、ほとんどのリースが貸借対照表に出る。契約した時点で、この先の支払い義務を負債として計上して、同時に使う権利を資産として計上する」
🦉「毎月ただ払うだけだと思っていたのに、契約した瞬間に両方乗るんですか」
💼「そう。『借りているだけだから資産でも負債でもない』という考え方は、もう通用しない。例外は、契約期間がごく短いリースくらいだ」
フクロウも木のうろを間借りすることがあるが、さすがに契約書を交わした覚えはない。カイロウは少しおかしくなりながらも、5年契約という言葉の重みが変わったのを感じた。ただの支払いの約束ではなく、今この瞬間に決算書へ映すべき数字だった。
本編で確かめたいこと
インプット(冒頭プレビュー)
この章の試験での位置づけ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所属エリア | Area III:特定の取引(Select Transactions) |
| Blueprint参照 | Area III-E-1(リース)/Area III-F-1(公正価値測定)/Area III-G-1(後発事象) |
| エリア出題比率 | 25〜35%(Area III全体の出題比率) |
⏱ 読了目安: 約142分(インプット教材のみ・個人差があります)。一度に読み切る必要はありません。キリのよいセクションで区切って進めてください。
Area III(特定の取引)の中でも、本章はリース会計(借手)・公正価値測定・後発事象という3つの論点をまとめて扱う。共通するのは、いずれも「取引をどう記録するか」ではなく「金額をどう測定し、いつ・どこまでの情報を財務諸表に反映させるか」というルールを扱う点である。3つとも一見バラバラに見えるが、読み終える頃には「測定と開示のルール」という1本の軸でつながって見えるはずである。
前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと
| 前提知識 | なぜ必要か |
|---|---|
| 現在価値(Present Value)の計算 | リース負債・使用権資産の当初測定は、将来のリース料を割引率で現在価値に引き直して算定するため |
| 実効金利法(Effective interest method) | ファイナンス・リースの利息費用は「期首の負債残高 × 利率」で計算する。社債の償却原価法と同じ考え方である |
| 減価償却の基本的な考え方 | 使用権資産の償却は、固定資産の減価償却と同じロジック(取得原価を耐用年数にわたって配分する)で行われるため |
| 財務諸表の作成・承認から発行までの大まかな流れ | 後発事象の評価期間は「財務諸表が発行される日」を基準にするため、決算から発行までのプロセス感覚が前提になる |
1. なぜこの論点が必要か(Why)
【Area III: 特定の取引 の全体像】
III-A 収益認識 → III-B 会計上の変更・誤謬の訂正 → III-C 偶発事象とコミットメント → III-D 法人税等
→ III-E リース(借手) → III-F 公正価値測定 → III-G 後発事象
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
← 今ここ(この章) →
ここまでの学習でArea III-A〜III-D(収益認識・会計上の変更と誤謬の訂正・偶発事象とコミットメント・法人税等)を扱ってきた前提のもと、本章ではArea IIIの残り3論点---リース会計(借手)・公正価値測定・後発事象---をまとめて扱う。
一見バラバラな3論点だが、共通点がある。想像してほしい。あなたが経理担当者だったとして、次の3つの状況にどう対応するだろうか。
続きとアウトプット演習・整理ノートはFAR教材(購入者限定)でご覧いただけます。
§ Summary Notes — FAR
この科目の整理ノートの見本と教材の更新をメールで受け取る(任意)
FARのChapter 1の整理ノート(判定表・フローの要点まとめ)の見本を1通で送ります。配信は不定期の教材更新のみ。いつでも解除できます。
登録は任意です。いつでも配信停止できます。