個人所得税の計算フロー・Gross Incomeと所得控除の体系
章構成を新カリキュラムに刷新しました。旧構成との対応は移行ガイドをご覧ください。
USCPA TCP(税務コンプライアンス・プランニング)の学習は、まずこのChapter 1「個人所得税の計算フロー・Gross Incomeと所得控除の体系」から始まります。TCPは全14章構成で、Chapter 1では個人所得税の計算フロー・Gross Incomeと所得控除の体系()の全体像を掴み、Chapter 2「税額控除・追加税と自営業税・税務プランニング戦略」以降で各論に入っていきます。このページはカイロウのUSCPA Webテキストの一部で、登録不要・完全無料でChapter 1の全文を公開しています。独学でTCPに取り組む方、これから税務コンプライアンス・プランニングの学習を始める方に向けて、ストーリー→インプット→演習→整理ノートの4ステップで基礎から学べる構成です。
この章で学べること
- 個人所得税の計算フロー・Gross Incomeと所得控除の体系の全体像と、TCP全14章の中での位置づけ
- に関する基本用語・フレームワークの理解
- ストーリー教材で概念を掴み、インプット教材で暗記し、アウトプット演習で定着させる学習の型
- Chapter 2「税額控除・追加税と自営業税・税務プランニング戦略」以降の学習につながる土台づくり
🦉 Episode 1: 「稼ぎ」の範囲はどこまでか
登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(税務部門)/🏢 三浦さん(個人事業のクライアント)
資料の山を前に
確定申告の時期が近づき、カイロウは先輩について三浦さんの自宅を訪れていた。三浦さんは自宅の一室を仕事場にして、イラストを描いて生計を立てている。テーブルには封筒がいくつも積まれていた。仕事の報酬明細、賃貸に出しているマンションの家賃振込通知、銀行から届いた利息のお知らせ、それから懸賞で当たった旅行券のはがき。
🏢「申告に出すのは、この報酬の分だけでいいですよね。他のは副収入というか、おまけみたいなものなので」
カイロウは相槌を打ちながら、内心では同じように思っていた。報酬は仕事の対価だからわかりやすい。でも家賃や旅行券まで「稼ぎ」と呼んでいいのか、自信が持てない。税務部門に来てまだ日が浅く、線引きの基準が自分の中にまだない。
🦉「三浦さんとしては、家賃の方はどうお考えですか」
🏢「家賃は不動産収入として別に申告するイメージはあります。旅行券までは、正直考えていませんでした」
🦉「この銀行からのお知らせは、何の書類ですか」
🏢「普通預金についた利息のお知らせです。数百円くらいなので、申告には関係ないかなと」
隣で先輩が資料をめくる手を止めた。
💼「その旅行券、当たったときの時価はいくらでしたか」
🏢「たしか8万円くらいの旅行だったと思います」
💼「でしたら、旅行券も、さっきの利息も、どちらも総所得に入りますよ」
三浦さんは少し驚いた顔をした。
🏢「そういえば、地域の公民館でイラスト教室の講師をしたときも、謝礼代わりに図書カードをいただいたことがあります。あれも数えるんでしょうか」
🦉「たぶん、さっきの旅行券と同じ考え方になりますね」
三浦さんは、テーブルの端に置いていた図書カードの束を、封筒の山に加えた。まだ何冊か使わずに残っているという。
発想を逆にする
事務所に戻る車の中で、カイロウは納得できずにいた。
🦉「懸賞の旅行券や利息まで所得だなんて、意外でした。何を根拠に含めるか、いちいち決まってるんですか」
💼「決まってるというか、順番が逆なんだ。まず全部を総所得に入れて、そこから除外していいと決まっているものだけを引く」
カイロウは、これまで自分が「対価性があるかどうか」で稼ぎかどうかを判断していたことに気づいた。
🦉「全部が対象で、そこから引いていく側だと考えるんですね」
💼「そう。だから懸賞の旅行券みたいに、普段は意識しない収入ほど見落としやすい。逆に、除外の理由がないものは、形がどうあれ全部数えると思っておくといい」
カイロウは手帳に、全部含めてから外すという順番を書き留めた。今までの理解と順番がまるで逆だった。
次に知りたいこと
🦉「総所得に入れたあと、そこから税額までどう進むんですか。三浦さんの家賃収入と報酬、性質が違うのに同じ表に乗るのが不思議で」
💼「そこは計算の流れを追うと見えてくる。総所得から始まって、いくつかの調整を経て課税所得まで下りていくんだ」
🦉「その流れ、ちゃんと最初から追ってみたいです」
先輩は軽く笑った。
💼「じゃあ、次はその全体像からいこうか」
Based on the AICPA Uniform CPA Examination Blueprints