財務諸表分析と予算編成(趨勢分析・KPI・総合予算・感応度分析)
USCPA BAR(ビジネス分析・報告)の学習は、まずこのChapter 1「財務諸表分析と予算編成(趨勢分析・KPI・総合予算・感応度分析)」から始まります。BARは全17章構成で、Chapter 1では財務諸表分析と予算編成(趨勢分析・KPI・総合予算・感応度分析)()の全体像を掴み、Chapter 2「流動性比率と運転資本管理」以降で各論に入っていきます。このページはカイロウのUSCPA Webテキストの一部で、登録不要・無料でChapter 1の本文を公開しています(演習の全問と解説は無料登録で開放)。独学でBARに取り組む方、これからビジネス分析・報告の学習を始める方に向けて、ストーリー→インプット→演習→整理ノートの4ステップで基礎から学べる構成です。
この章で学べること
- 財務諸表分析と予算編成(趨勢分析・KPI・総合予算・感応度分析)の全体像と、BAR全17章の中での位置づけ
- に関する基本用語・フレームワークの理解
- ストーリー教材で概念を掴み、インプット教材で暗記し、アウトプット演習で定着させる学習の型
- Chapter 2「流動性比率と運転資本管理」以降の学習につながる土台づくり
🦉 Episode 1: 金額を並べただけでは分からない
登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(経営分析・財務計画の支援チーム)/🏢 皆川部長(クライアント工場の経理部長)
工場の会議室で
カイロウは先輩と一緒に、地方の部品工場を訪れていた。窓の外では、ラインの機械音が響いている。机には、今期と前期の損益計算書と、原価の内訳をまとめた表が並んでいた。
皆川部長が資料を指さした。
🏢「売上高は3億円から3億3千万円になりました。伸びていますよね」
カイロウは数字をのぞき込んだ。たしかに売上は増えている。でも原価も経費も、去年よりすべて増えていた。何を見れば良し悪しが分かるのか、カイロウには見当がつかなかった。
🦉「金額はどれも増えていますね。これは順調ということでいいんでしょうか」
皆川部長も腕を組んで、うーんと唸った。感覚では良くなっている気がするが、言葉にはできない様子だった。
🏢「材料費も経費も、去年よりは増えています。でも売上も増えているので、差し引きでは悪くないはずなんですが」
先輩はメモを取りながら答えた。
💼「金額の大きさだけを比べても、何が起きたかは分からない。増えた分を、去年の金額に対する割合で見てみよう」
🦉「割合、ですか。金額そのものじゃなくて」
💼「そう。割合にすると、規模の違う数字同士でも同じ物差しで比べられる。去年と今年で会社の大きさが違っても、割合なら比較できる」
カイロウはノートに「金額ではなく割合」と書き留めた。まだ意味は半分しか分かっていなかったが、何かが引っかかった感覚だけは残った。皆川部長も、先輩の手元をのぞき込んでいた。
割合にすると見え方が変わる
先輩は電卓を叩き、売上の伸び率と原価の伸び率を並べて書いた。売上は3億円から3億3千万円で10%、原価は2億1000万円から2億4150万円で15%の伸びだった。数字を並べると、カイロウにも違いが見えてきた。
🦉「原価の伸び率のほうが、売上より大きいんですね」
💼「同じように増えて見えても、伸びた割合が違えば話は別だ。原価のほうが速く増えているなら、利益はどこかで削られている」
皆川部長は資料を見直しながら言った。
🏢「感覚では、伸びているとしか思っていませんでした。原材料の値上がりは聞いていましたが、ここまでとは」
🦉「割合にしただけで、同じ資料からこんなに違うことが分かるんですね」
カイロウは、金額をそのまま眺めていた自分と、割合に直して見た先輩とで、同じ資料から読み取れるものがまるで違うことに驚いた。数字を並べる順番ひとつで、見える景色が変わる。
次に知りたいこと
会議室を出たあと、カイロウは先輩に聞いた。
🦉「割合で比べる考え方は、期間を比べるとき以外にも使えるんですか」
💼「使える。今日見たのは期間同士を比べる方法だ。ほかに、同じ期の中で項目同士を比べるやり方もある」
🦉「同じ期の中で、ですか」
💼「ああ。売上高を基準にして、原価や経費がその何割を占めるかを見る。これも考え方は今日と同じだ」
先輩はうなずいた。カイロウは、自分がまだ分析の入り口にしか立てていないことを感じながら、次の話を聞く準備をした。窓の外では、まだラインの機械音が響いていた。
Based on the AICPA Uniform CPA Examination Blueprints