KAIRO
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7Chapter 7

監査証拠と証拠入手手続

Part 3: 追加手続の実施と証拠の入手Blueprint Area III 対応・配点 30-40%読了目安 約120分

章構成を新カリキュラムに刷新しました。旧構成との対応は移行ガイドをご覧ください。

ストーリー(冒頭プレビュー)

🦉 Episode 7: 「大丈夫です」だけでは終われない

登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(監査部門)/🏢 浅野さん(クライアントの経理担当)

200日、動いていない売掛金

はまなす食品の監査は三日目で、カイロウは売掛金の一覧表を最初から順番に、一件ずつ丁寧に確認していた。朝から取引先の電話が多いらしく、浅野さんの内線がひっきりなしに鳴っている。数字がびっしり並ぶ中、一件だけ入金予定日から200日以上そのままの取引先があった。

🦉「浅野さん、この取引先、ずいぶん長く残高が動いていませんね」

🏢「ああ、そこは古いお得意先です。支払いが遅れることはよくあるけど、最終的にはちゃんと払ってくれますよ」

🦉「これまでも、同じようなことがあったんですか」

🏢「毎年そうです。年明けにまとめて振り込まれます。心配いらないですよ」

🦉「振り込みが遅れる理由は、何か聞いていますか」

🏢「先方の決算のタイミングの都合だと聞いています。もう何年も同じパターンなので」

カイロウは浅野さんの言葉をそのままメモに書き写した。「回収可能、担当者確認済み」。これで一件落着だと思い、次の取引先に進んだ。

見方が変わる一言

作業を先輩に見せると、先輩はそのメモの一行で手を止めた。

🦉「これは浅野さんに聞いて、大丈夫だと言われたので、確認済みにしました」

💼「聞いた、というのは、浅野さんがそう言った、ということだよね」

🦉「はい。長年の取引先だから毎年そうなる、と」

💼「それはそれで参考になる。でも、それだけで証拠として十分だろうか」

🦉「浅野さんは担当者ですし、噓をつく理由もないと思います」

💼「悪意の有無の問題じゃない。誰かに聞いた話を、そのまま書き写しただけでは、監査人自身が確かめたことにはならない」

🦉「じゃあ、話を聞くこと自体が、無駄だったということですか」

💼「無駄じゃない。最初の手がかりとしては十分だ。ただ、そこで止めずに、別の角度からも確かめる必要がある」

🦉「別の角度、というと」

💼「たとえば、年明けに本当に入金されたか。取引先に直接、残高を確認する方法もある」

🦉「自分たちで、外から確かめるということですね」

💼「そう。人から聞いた話と、自分で確かめた事実は、同じ『分かった』でも重みが違う」

🦉「浅野さんが嘘をついているとは思えないんですが」

💼「思えなくていい。信じるか疑うかの話じゃなく、証拠として説明できる形にするかどうかの話だ」

カイロウは「確認済み」の文字を消し、「要追加確認」と書き直した。聞いた話をそのまま信じていた自分に、少し恥ずかしさを感じた。フクロウの耳は地獄耳のはずなのに、話の中身まで確かめる耳ではなかったらしい。

インプット(冒頭プレビュー)

この章の試験での位置づけ

項目内容
所属エリアArea III「追加手続の実施と証拠の入手」
Blueprint参照Area III-B(十分かつ適切な証拠)、Area III-D(十分かつ適切な証拠を入手するための手続)
エリア出題比率30〜40%(Area III全体)

この章では、監査人が意見形成の根拠とする「証拠」そのものの評価基準(Area III-B)と、証拠を入手するための具体的な手続(Area III-D)を扱う。適用される基準は主にAU-C(Codification of Statements on Auditing Standards:非上場企業等向け監査基準のコード体系)と、PCAOB(Public Company Accounting Oversight Board:公開会社会計監視委員会)が定めるAS(Auditing Standards:監査基準)である。TBS(Task-Based Simulation:総合的な事例形式の問題)でも頻出の実務色が強い分野で、Area III全体の出題比率30〜40%の中核を占める。


前提知識 --- この章に入る前に、分かっているとラクなこと

前提知識なぜ必要か
監査リスクモデル(監査リスク(Audit risk, AR)=重要な虚偽表示リスク(Risk of material misstatement, RMM)×発見リスク(Detection risk, DR))評価したリスクの水準によって、本章で入手すべき証拠の量・種類・説得力の程度が変わるため
重要性と手続実施上の重要性(Performance materiality)実証手続でどこまで細かく検証するか、どこまでの差異なら許容できるかの判断基準になるため
内部統制の理解と評価済みの統制リスク統制に依拠する(統制のテストを実施する)か、実証手続だけで対応するかの分岐点になるため
不正のトライアングルと、収益認識に不正リスクがあるとの推定現金・売掛金・収益についてきめ細かい実証手続が求められる理由の背景になるため

1. なぜこの論点が必要か(Why)

【監査プロセス全体の流れ】

契約締結 → 監査計画 → リスク評価 → 内部統制の理解 → 統制のテスト → 実証手続 → 監査の完了 → 意見表明
                                                    ^^^^^^^^^^^^
                                                    ← 今ここ:証拠の入手 →

前の章までで、監査人は「どこにリスクがあるか」を評価し、「どう対応するか」の計画を立ててきた。しかし計画だけでは意見は出せない。最終的に監査報告書に署名するためには、その計画を実行して、実際に手を動かして集めた証拠が必要になる。

続きとアウトプット演習・整理ノートはAUD教材(購入者限定)でご覧いただけます。

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