監査と保証業務の全体像
章構成を新カリキュラムに刷新しました。旧構成との対応は移行ガイドをご覧ください。
USCPA AUD(監査論)の学習は、まずこのChapter 1「監査と保証業務の全体像」から始まります。AUDは全17章構成で、Chapter 1では監査と保証業務の全体像()の全体像を掴み、Chapter 2「職業倫理・独立性と監査人の法的責任」以降で各論に入っていきます。このページはカイロウのUSCPA Webテキストの一部で、登録不要・完全無料でChapter 1の全文を公開しています。独学でAUDに取り組む方、これから監査論の学習を始める方に向けて、ストーリー→インプット→演習→整理ノートの4ステップで基礎から学べる構成です。
この章で学べること
- 監査と保証業務の全体像の全体像と、AUD全17章の中での位置づけ
- に関する基本用語・フレームワークの理解
- ストーリー教材で概念を掴み、インプット教材で暗記し、アウトプット演習で定着させる学習の型
- Chapter 2「職業倫理・独立性と監査人の法的責任」以降の学習につながる土台づくり
🦉 Episode 1: 監査は間違い探しではない
登場: 🦉 カイロウ(新人)/💼 先輩(監査部門)/🏢 竹内部長(クライアントの経理部長)
初めての往査
入社して一か月、カイロウは初めて往査についていった。往査とは、クライアントの会社を訪ねて行う監査作業のことだ。訪問先は、部品を作る中堅の製造会社だった。
会議室の机には、伝票の束と在庫の実地棚卸表、銀行の残高証明書のコピーが並んでいる。段ボール箱ほどの資料を前に、カイロウは何から手を付けていいのか分からず立ち尽くした。窓の外では、フォークリフトが荷物を運ぶ音が響いている。
竹内部長が笑いながら言った。
🏢「うちの決算書、去年よりだいぶ整ったでしょう。監査を受ければ、間違いはゼロだと太鼓判を押してもらえるんですよね」
カイロウは答えに詰まった。棚卸表の数字はきれいに並び、電卓を叩くまでもなく合っていそうに見える。何を確かめに来たのか、急に分からなくなった。
🦉「先輩、こんなに整った会社に、僕らは何をしに来たんでしょうか」
先輩は伝票を一枚手に取り、竹内部長には聞こえない声で答えた。
💼「整っているように見えることと、その数字が正しいことは別だ」
倉庫の脇で
昼休み、カイロウは倉庫の脇で先輩に追いついた。頭の中では、さっきの「太鼓判」という言葉がまだ引っかかっている。
🦉「僕らが保証すれば、間違いは絶対にないと言えるんですか」
💼「言えない。監査は間違いをゼロにする作業じゃない」
先輩は続けた。この決算書を信じて動くのは、竹内部長たちではない。この会社にお金を貸すかどうかを決める銀行、株を買うかどうかを決める投資家。会社の外にいて、自分では帳簿を見に行けない人たちだ。
💼「外の人は、経営者の説明をそのまま信じるしかない。だから、間に立って確かめる第三者が要る」
その一言で、カイロウの見え方が変わった。目の前の伝票の束が、急に重く見えてくる。竹内部長の笑顔も、さっきまでと少し違って見えた。
🦉「じゃあ、僕らはどこまで確かめれば、外の人に胸を張れるんでしょう」
先輩はにやりと笑った。
💼「フクロウは夜目が利くらしいが、それだけじゃ監査はできないぞ」
🦉「それ、僕への評価が低すぎませんか」
午後の一枚
午後、先輩はカイロウに一枚の請求書を手渡した。
💼「この金額を、銀行口座の入金記録と照らし合わせてみろ。竹内部長の説明を鵜呑みにするな」
カイロウは請求書と通帳のコピーを並べ、品目ごとの金額を一つずつ目で追った。ほとんどの行は一致していたが、一件だけ、入金日が請求書の期日より三日遅れている行があった。
🦉「先輩、この行だけ入金日が三日遅れています。これも問題なんでしょうか」
💼「それだけでは分からない。分からないことをそのままにしないのが、今日の仕事だ」
カイロウは竹内部長に確認しに行こうと腰を上げかけたが、何をどう聞けばいいのか、まだ言葉が浮かばなかった。とりあえずその一行に付箋を貼った。この小さな確認の積み重ねが、会社の外にいる誰かの判断を支えている。そう思うと、単調に見えた作業が少し違って見えた。
🦉「先輩、僕らはこれから何を基準に、どこまで確かめていけばいいんですか」
💼「その基準は、この後の本編でちゃんと説明する。まずは今日の一枚を最後まで確かめてみろ」
カイロウは付箋だらけの請求書を持ち直し、次の書類に向かった。
Based on the AICPA Uniform CPA Examination Blueprints